prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロング・エンゲージメント」

2005年03月30日 | 映画
戦場から戻ってこない恋人を待つ女性の話といったらメロドラマの王道みたいなものだが、この場合待つだけではなく恋人を捜して死んだとされる状況を徹底して調べる探偵役になっていて、半ばミステリ。そのはずで、宣伝には全然出なくて後で知ったのだが、原作はセバスチャン・ジャプリゾ(「長い日曜日」)。ただ、映像で見ると誰が誰だか一回で頭に入るというわけにいかず、しばしば混乱する。

オープニング、雨がびしょびしょ降る塹壕を移動する死刑判決を受けた兵士たち、という図を見てキューブリックの「突撃」を思い出したが、おそらくあれもここで描かれる第一次大戦に実際にあった、凄惨さで有名なヴェルダンの戦いをヒントにしているので、自然似てきたのだろう。

メロドラマ的な筋が通っている以外は、戦場や野戦病院ほかの凄惨な描写が大半を占める。監督の体質とするとそっちの方がやりたかったのかも。
凄惨な戦場と芳醇な野山と、映像的にはともに壮麗をきわめる。

ジョディ・フォスターにいやに似た人が出ているなあと思っていたら、御当人。ちゃんとフランス語で芝居していて(特技のはず)、特にタイトル上で特別扱いしているわけではない。ただし、エンドタイトルを見たらアシスタントはついていた。
(☆☆☆★★)



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横山大観展

2005年03月30日 | Weblog
日本橋三越の横山大観展に行く。
墨絵のモノトーンと華やかな色彩との混淆の妙。葉の色あいが変わっていく絶妙な描写が、見た目にリアルという以上に違う時間が一つ画面に同居しているよう。
竜の絵で体の大半が雲の中に潜って見えないという描き方の大胆さ。

コインロッカーが100円玉が戻る形式のもの。展覧会場だけでなく、喫茶コーナーなどにも設置されているのは、リニューアル以前からあったものか?

大観の複製が60万円といった価格で売られている。いい値というより、客層からするとリーズナブルな感じ。
ちなみに、別の場所で売られていた同じくらいの大きさの藤城清治の作品が、30万円。





「スパイダー・フォレスト 懺悔」

2005年03月30日 | 映画
2時間という長尺でものものしいテンポ、冒頭の下草がガサガサいう森の映像などタルコフスキーの「サクリファイス」みたいだなと思ったが、どうも空中に浮かぶ少女だの、トンネルの向こうに鉄扉がある造型(「ストーカー」の肉挽機)など、けっこうマジでタルコフスキーしてるのかも。色彩や光の使い方など大いに凝っている。

謎解き映画ではないにせよ、ちょっと?がつく結末。意味はわかるけど、こういう記憶をモチーフにした作品ではズルがしやすいので、ちょっと辛めに見たい。

試写会ではどういうミャクラクか、川島なお美がゲスト。映画に合わせて緑のイメージでコーディネートしたファッションで、記憶に関するクイズをやって優勝者にはワインをプレゼントという趣向。なんですか、コレ。
(☆☆☆★)



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