prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「陸軍中野学校 雲一号指令」

2014年09月05日 | 映画
「陸軍中野学校」シリーズ第二作。
一作目は市川雷蔵扮する椎名次郎の中野学校での訓練と、秘密を知った婚約者を暗殺することで非情な諜報員として完成するまでを描いていたのだが、この二作目では冒頭、朝鮮半島を北上する列車内から始まるので、いよいよ大陸での諜報活動が始まるのかと思うと、途中から引き返して国内・神戸の話になってしまうのでちょっと拍子抜け。

雷蔵はふだんは銀行員みたいな人だったというが、そういう一般人に溶け込んで目立たない面と、がらっと調子を変えて非情な諜報員の顔になるのと、両方見られるのがこのシリーズということになる。

軍関係者が佐藤慶と戸浦六宏という大島渚組というのがおかしい。作られた1966年は「白昼の通り魔」が作られたのと同じ年。

佐藤慶が女の色仕掛けで情報を抜かれていたのがわかって女を殺して自決するのだが、諜報員としては目の前で犯人に死なれてはまずいでしょ。生け捕りにして情報吐かせないと。他にも雷蔵の前ではないが、尋問中の相手にあっさり窓から飛び降りられて自殺されているあたり、どうも手ぬるい。
スパイ女に扮する村松英子は三島由紀夫と家族ぐるみのつきあいがあって、三島とともに劇団浪曼劇場の旗揚げに参加したという。なんかぬるっとした肌合いの人です。

旧大映作品としては不思議と画面に陰影に乏しいのが物足りない。

監督は雷蔵とは最も多くコンビを組んだ森一生。ヒット作の第二作作りとしては「続・座頭市物語」あたりとも通じる、シリーズを続けられるようにパターンを固める役割を果たした感じ。中野学校から離れて、和製スパイものでリアルな忍者ものに通じる暗く非情なタッチで諜報活動を描くスタイルはこの後も受け継がれることになる。



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