prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「大いなる旅路」

2020年05月10日 | 映画
国鉄職員の、特にSL機関士として過ごした30年にわたる堂々たる年代記。
製作の東映社長の大川博が国鉄OBなことから企画されたという。

三國連太郎は1923年生まれ、高倉健は1931年生まれだから八つしか違わないのだが、それで親子役をやるのだから相当乱暴。
高倉健はこの映画が作られた1960年にはまだこれといった役に巡りあっていない。

北海道の雪景色を SL が走る姿がすこぶる魅力的で、脱線事故の場面などすごい迫力。どうやって撮ったのかと思ったら、実際のSLを転覆させて撮ったというから驚き。

新藤兼人の脚本が手堅いもので、戦争や労働運動といった社会的背景を織り込みながら当社内部の出世競争(駅長になる者と機関士として現場にいる者との格差と、現場にいるプライドなど複雑)家族が次第に別れていき、また集まってくる様子をまんべんなく織り込む。

関川秀雄の演出は「きけわだつみのこえ」の監督らしくいかにも誠実な代わりにのあまり融通はきかないのがかえってスケール感を出した。