prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「タイラー・レイク 命の奪還」

2020年04月30日 | 映画
サム・ハーグレイヴ監督デビュー作。これまでの仕事とすると「アベンジャーズ」「ハンガー・ゲーム」シリーズや「アトミック・ブロンド」、中国映画「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」などのスタント・コーディネーターを務めている。

というわけで、当然アクションシーンは凝りに凝っている。
特に前半30分過ぎあたりからのカーチェイスから、アパートの狭い廊下のナイフや拳銃を交えた肉弾戦から、屋根からの転落までを含んだおそろしく複雑で手がこんだ、10分余りの長回しワンカットによるアクションは凄い。
「アトミックブロンド」の長回しを越えようとしてメガ盛りになった(なりすぎた)感もある。

クリス・ヘムズワースが悪役と一緒に二階から地上に転落するあたり、落ちる直前にすごく巧みにスタントマンに交代して落ちてからクリスにまた交代しているのではないか。メイキングが見たいな。

クリス・ヘムズワース以外がほとんどインド系キャストというのが異色。舞台はバングラデシュだが、撮影はインドとタイ。

グラフィック・ノベルCiudadが原作。
悪役の扱いがほとんど少年ジャンプ。





「アフリカの光」

2020年04月30日 | 映画
アメリカンニューシネマの「明日に向って撃て!」(1969)みたいに萩原健一と田中邦衛の男二人のホモっぽい関係に桃井かおりの女ひとりがプラスされるという関係が基本になっている。

ニューシネマの場合はあからさまにホモセクシュアルというのをぼかしていてホモソーシャル寄りではあるのだがここでははっきりホモっぽい。
脚本の中島丈博はのちに監督作「おこげ」でホモのカップルと女ひとりの同居生活というのを描いているから、その予告みたいなところもある。

タイトルが「アフリカの光」で実際に出てくるのが北海道の冬景色なのだから相当に面食らう。
撮影は姫田真佐久でさすがに素晴らしい。

監督の神代辰巳としては日活ロマンポルノで名を上げてメジャーな東宝に招かれて一種の文芸路線として撮ったうちの一本ということになる。前作「青春の蹉跌」がかなりヒットして同じ萩原健一主演で撮ったわけだが、ちょっといくらなんでもとりとめがなさすぎる感じ。