prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「竜馬を斬った男」

2020年04月04日 | 映画
VHSしかソフトが出ていないので、萩原健一の一周忌のWOWOW放映はありがたかった。

旧大映のスタッフが倒産後の受け皿として集結した映像京都作品で、美術(にして社長)の西岡善信、撮影の森田富士郎、照明の中岡源権といった一流スタッフによる画面作りが素晴らしく、今ではこういう陰影豊かな時代劇はなかなかできないと思わせる。

ただ音楽が新しがりすぎて、「必殺!」シリーズならいざしらず、本格的な構えの時代劇だとかなり違和感がある。

ショーケンは竜馬ばかりか清河八郎も殺った暗殺者、佐々木只三郎を企画にも噛んで熱演しているけれど、元の役の書き込みが弱いせいかファナティックなのが日本の俳優の熱演のタイプにはまって見えてしまい、持ち味の柔軟さが減殺された印象なのは残念。

藤谷美和子や島田陽子といった失礼ながら今何をやっているのかといった女優さんたちが綺麗に撮れている分、複雑な気分になる。
竜馬役の根津甚八のように早世した人も。