prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「大菩薩峠」(岡本喜八監督 仲代達矢主演)

2020年04月20日 | 映画
島田虎之助と宇津木兵馬の師弟を演じるのが、三船敏郎と加山雄三なのだからまるっきり「赤ひげ」(65)の再現。
これは翌66年の製作。内藤洋子も出てます。

「大菩薩峠」はこの前に東映で片岡千恵蔵主演で二度、大映で市川雷蔵主演で一度、三部作としてカラー映画化されているが、この仲代達矢主演の東宝版は一番新しいのに白黒で作っている。
村井博撮影の陰影の深さは大映映画ばり。

仲代だと机龍之介の狂い方がどこかモダン。舞台でも映画でもやった「東海道四谷怪談」の民谷伊右衛門のような色悪ふうでもある。

新撰組の内ゲバの陰惨さとやたらと集団で人を斬りたがるあたり、当時の過激派のイメージも入ってきているのかもしれない。

有名なスダレ斬りの場面で、スダレに龍之介が殺した人たちの幻影の影をスクリーンに見立てて投影する処理が面白い。

殺陣は冒頭の剣術試合の息詰まるような静から、三船のダイナミックな立ち回り、ラストの物狂いのような大量殺戮と多彩。

岡本喜八監督作としてはユーモアがないが、橋本忍脚本の色の方が全面に出た感もある。