prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「ザ・ダンサー」

2017年06月07日 | 映画
ダンス、といっても通常想像されるようなダンスとはずいぶん違う。実は主人公のロイ・フラーについてはまったく知らなくて,脇の人物としで出てくるイサドラ・ダンカンのことを「裸足のイサドラ」「フォー・フレンズ」といった映画で知っていた程度。

イサドラ役の人は端正なマスクといいスタイルの良さといい踊りの技量といいただものではないと思ったら、リリー=ローズ・デップ、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘というのでナルホドと思う。

衣装というよりほとんど装置に近い非常に大きなシルクの布を全身で振り回し強い照明を当てることで海底の生物のような、あるいはCGのような人間離れした造形を見せるという踊りで、離れてみると抽象的だれけど近寄るとすごい腕力と体力を要する息たえだえといった様子なのを鋭く交錯させる。

フラーの古いサイレントフィルムが残っているのを見ると、実物は完全に顔が見えなくなるまで布は大きく振っておらず、またあれほどカラフルな照明を20世紀初頭にできたとは思えないので、映画的なアレンジだろう。

あまりに強い照明で目を傷め、布を振りまわすため肩を痛めるあたりもなんとも凄まじく身を削って表現しているのがストレートに伝わってくる。

出だししばらくはおよそダンスとは縁のなさそうなアメリカの山岳地帯でカウボーイがヒロインに投げ縄をかけて引きずるという野蛮な環境が描かれるのにびっくり。大変な環境で育ったのだとわかるし、人を寄せ付けないようなパーソナリティが形成されたのもわかる。その中で天才であるイサドラは例外で、しかし天才相手では簡単に人間関係を結べるわけではない悲劇。
二人で野外でいる時にいきなりしゃがんでおしっこするなどの構わなさにびっくり。
(☆☆☆★★)

ザ・ダンサー 公式ホームページ

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6月6日(火)のつぶやき

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