prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウィル・ペニー」

2009年10月02日 | 映画

カウボーイのチャールトン・ヘストンが、字が書けないからでかい図体で恥ずかしそうに給料の受け取りのサインの代わりに×印を書く、こういう一種かわいらしいヘストンというのは珍しいのではないか。
カウボーイというと今ではアメリカ的マッチョの代表みたいなイメージだけれど、実態は臨時雇いの放浪者というのがよく描かれている。年に8~10回くらいしか風呂に入らないあたりも、いい生活とは思えない。

子供連れの奥さん(夫とはっきり手を切っているのかどうかわからないのが不思議みたいだが)とだんだん子供絡みで仲良くなっていって、クリスマスの歌を教わるあたりが、知識と家庭を知る喜びがよく出ていて情感たっぷり。
荒涼とした風景に冬が迫ってきて雪が次第に積もってくるあたり、自然の厳しさがよく出ていた(撮影・ルシエン・バラード)。

神の言葉を唱えながらやたら人を殺すドナルド・プリゼンスの教誨師(と名乗る男)が、今の宗教右派の原型と見えて気持ち悪い。おかげで後半がちょっとB級サスペンス調になりすぎた。

インディアンはまるで出てこないが、カウボーイが50人も100人も相手にしたというホラが、後で「西部劇」になったというわけだろう。
(☆☆☆★)