『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

震災短編『母燃ゆ』4

2022-11-25 07:42:42 | 創作

 内陸の盆地に住む舞衣にとって、津波の心配は皆無であったが、祖父母の代からの旧家で築六十年を裕に超えるだろう我が家が無事であるかの保障は、その限りではなかった。
 もし、主婦である母親や小学生の弟が、家の巻き添えにでもなっていたら…と、ちらりとでも脳裏に浮かぶや、その胸は早鐘のように激しく高鳴るのだった。

(どうぞ、無事であって。
 お母さん。
 さとしぃ…)

 舞衣は、次第に歩調が早まって、いつしか小走りになっていた。
 十数キロを走るなんて、高校時代の合宿以来のことである。
 でも、今は、まさに非常時である。
 つい半年前まで、現役のバレーボール選手だったことが彼女にとっては、幸いであった。
 まだ、その脚力が、さほどに衰えてはいなかったからである。 

 母親の芳枝も、中高とバレーの選手で、二人を産むまでは、ママさんバレーでも活躍していたことがある。
 弟の智史も、小4からスポ少でバレーを始めたので、一家揃ってのバレー家族である。
 父親の将文(まさふみ)だけが、中高大とテニス一筋であった。 

 そんなんで、舞衣は時折、智史とも母とも、全日本女子の試合をテレビで共に観戦していた。
 気が付けば、小走りからランニングのスピードになっていた。
 気が急いてならなかったのだ。
 一刻も早く帰宅せねば、という切迫した気分は、舞衣の胸を圧迫して苦しめていた。
 女の子らしいベージュの肩掛けポシェットは、いつしか彼女の背後へと廻り、そのお尻の上でポンポン跳ね上がっていた。
 
 その姿は、あたかも中学時代の国語の教科書に出てきた太宰治の『走れメロス』のようであった。
 自分を信じて待つ親友セリヌンティウス。
 メロスは走った。
 舞衣も走った。


 ・・・・・・路行く人を押しのけ、跳はねとばし、メロスは黒い風のように走った。
 野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。
 一団の旅人と颯(さ)っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。

「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ」
(ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。
 その男を死なせてはならない。)

 急げ、メロス。
 おくれてはならぬ。
 愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。
 風態なんかは、どうでもいい。
 メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。
 呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。

 見える。
 はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。
 塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
 

「ああ、メロス様」
 うめくような声が、風と共に聞えた。

「誰だ?」
メロスは走りながら尋ねた。

「フィロストラトスでございます。
 貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます」
 その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。

「もう、駄目でございます。
 むだでございます。
 走るのは、やめて下さい。
 もう、あの方かたをお助けになることは出来ません」

 「いや、まだ陽は沈まぬ」

 「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。
 ああ、あなたは遅かった。
 おうらみ申します。
 ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」

「いや、まだ陽は沈まぬ」
 メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。
 走るより他は無い。

「やめて下さい。
 走るのは、やめて下さい。
 いまはご自分のお命が大事です。
 あの方は、あなたを信じて居りました。
 刑場に引き出されても、平気でいました。
 王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました」 

「それだから、走るのだ。
 信じられているから走るのだ。
 間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。
 人の命も問題でないのだ。
 私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。
 ついて来い! 
 フィロストラトス」

「ああ、あなたは気が狂ったか。
 それでは、うんと走るがいい。
 ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。
 走るがいい」  

 言うにや及ぶ。
 まだ陽は沈まぬ。
 最後の死力を尽して、メロスは走った。

 

     


 メロスの頭は、からっぽだ。
 何一つ考えていない。
 ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。

 陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。
 間に合った。

 ・・・・・・ 


 舞衣は12㎞の帰路を完走した。
 後半は全力で疾駆した。
 そして、一時間内で到着した彼女を待っていたのは、無残に倒壊した我が家だった。
 

       

 

 

 

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電気代3割増し!! (ノ゚ο゚)ノ ノォ-…!!

2022-11-25 07:38:13 | 社会問題

 

今日・明日・・・と、
竜王戦「第五局」がある。

七番勝負のスコアは
「3-1」で、
ソーちゃんが防衛に王手を
かけている。

今日は、後手番ながら、
相手の広瀬八段に対して、
順位戦も含めての直近で
4連勝しているので、
この勢いで勝つ公算が高い。

*

きのうは
ベント持ちで出勤した。

こないだ、
はじめて鞄に入れ忘れて
ショックを受けたので、
作ったら、他の用事をせずに
すぐに鞄に入れるように
行動修正した。

前夜の鍋物の具材を
キッチンペーパーで
一つずつ汁気を切ってから
オカズとして詰めた。

*

東北電力が
来年4月から33%も
値上げし、一世帯あたり、
3000円弱も電気代が高くなるという。

一挙に、3割増し・・・
っていうのは
シャレにならない・・・。

オール電化に近い現代生活は
電気がなければ
成り立たないので、
家計は困窮する。

こうなりゃ、
カミさんが悠長に払ってた、
町内会費3000円やら、
消防団寄付3000円なんかは、
不必要経費として切ることを
強く進言するつもりである。

町内会なんて任意なので、
何の情報源にもならない
回覧板を週に何度も
隣家に回す手間だけで、
何のメリットもない。

消防団の寄付なんて、
会計報告もなければ、
ただ、飲み食い費に
使われてるだけという。

それと、
紙面の七割方は
広告ばっかしで、
スポーツ欄、株価欄なぞ
まったく見ない新聞も
そろそろやめ時かもしれない。

これも、不思議と
ひと月3000円なので、
この三千円トリプレット(三組)を
キャッシュ・フローから
消去すれば、電力費高騰の
バランスを保てるだろう。

“無政策”の岸田政権が
電力費補助を口にしているが、
その口で「増税」を強行しよう
としているので、まったく
頼りにはならない。

国の無駄をなくすなら、
参議院を廃止し、
衆議院数を100人ほどにするか、
いっそ、国会議員は
無報酬にすべきである。

そして、大統領制を
導入したらいい。

*

バイデンの馬鹿息子ハンターが
紛失したPCから
おぞましい情報が出てきて、
それが公開され、
これで、親子共々オワリだろう、
と米国内では取り沙汰されている。

児童の人身売買に絡んでいた
大富豪のエプスタインは
不審死をしたり・・・と、
何かと、グローバリストやDS側が
大コケはじめている。

反社会集団と密通していた
自民党は、この後に及んで、
連立の公明党のバックにある
創価学会にも忖度して、
「被害者救済法案」が
骨抜きの抜け穴だらけで、
被害者弁護団からも追及されている。

世界では、
今なお、巨悪な富豪による
児童の人身売買が行われており、
臓器摘出や性的搾取、奴隷労働
などが強いられているという。

これまで、自民党政権は
それらの反社会的人間たちとも
一部で通じていたのである。

だから、
人権もヘッタクレもなく、
「今だけ、金だけ、自分だけ」
という輩の組織なのである。

*

99年の連ドラ『あすか』の
テーマ曲をピアノ雑誌で見つけ、
ギターソロに編曲してみた。

このドラマで
一躍主演に抜擢された
若き日の竹内 結子は、
まさか、後年、自死する事になるとは
当時は、夢にも思っていなかった。

第二子を出産して
間もなくだったので、
中学生の息子と夫がいての
突然の自殺だった為、
その動機への疑問が
ネットやワイドショーを
しばらく騒がせた。

どれも憶測の域を出ないが、
当時、ドミノ的に続いていた
芸能人の自殺や
育児ノイローゼのせいではないか、
というのが一般の見方だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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震災短編『母燃ゆ』3

2022-11-24 08:39:27 | 創作

 

 周囲の民家は新しいものは頑健にその姿を残していたが、何処か昭和臭のするような木造の古家は梁から柱から折れ、崩れ落ちるように半壊、ないしは全壊しているものもあった。
 すさまじきは巨大地震の破壊力である。

 ブロックや煉瓦作りの塀なぞは、ことごとく散乱するように路上にばら撒かれていた。

 
 歩きながらもケータイは相変わらず「地震警報」のたびごとにブルルと揺れ、直後に、バランスを失うほどの巨大余震が襲った。
 後日、解った処では、この日、裕に二百回以上もの大小さまざまな余震が襲ったという。

 そんな震災というのは、日本史上、ここ千年は起こっていないはず、と学者が新聞のコラムで述べていた。 

 崩れ落ちた屋根瓦や、無残にも真ん中でへし折れたコンクリの電柱を目にするたび、舞衣は何かに憑かれたようにそれをケータイで撮影した。
 

 歩きながらワンセグに切り替えてみたら、まるで映画のワンシーンのような光景が展開されていた。 

 真っ黒な津波が田畑を飲み込み、目の前を必死で逃げる乗用車を今まさに捉えようとしていた映像である。

「早くッ!」
 路上にもかかわらず、舞衣は、思わず大きな声で小さな画面に向かって叫んだ。
 それは、まさに手に汗握るような緊迫のシーンであった。 

 今、「6強」を三分もの間体験した舞衣は、それが絵空事でないことを重々承知していた。 

 小さなケータイ画面の中の白いボックスワゴンは、どうにか黒い魔物の虎口から逃げ果(おお)せた。その一部始終を、上空ヘリ目線のライヴとして観ていた彼女も、肩の力が抜けたように安堵した。

(海沿いの所では、大変なことになってるんだ…)
 と、この春、理系の大学に進学することになっている舞衣には、その恐ろしい顛末が容易に想像できた。

「超巨大」地震がもたらすもの。
 それが、深海でのプレート移動によるものであれば、間違いなく「超巨大」津波が発生するはずである。 

 あの三分も続いた「6強」がもたらす海底変動とすれば、どれほどの規模なのか想像すらできなかった。 

(とてつもない大津波が来たんだ…) 

 大地を何キロも遡上する津波は上空から観るとコールタールのように「漆黒」なんだ、ということを舞衣は初めて知った。
 それは不気味な黒。
「死の黒」であった。

 

           

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趣味人を生きる

2022-11-24 08:35:32 | 趣味

 

きのうは
「勤労感謝の日」だったので、
日頃の勤労の“疲れ”を癒すのに、
一日ゴロゴロして
カラダを休めていた。

世界的に
「タイニー・ハウス(小屋)」や
「車中泊」のような
隠れたブームがあるようだが、
何のことはない、一種の
「子宮回帰」現象なのかもしれない。

寒い冬、暖かい寝床の
布団に包まってるのが、
どれほど心地よいか・・・を、
思えば、ヒトは生物進化的に
服という衣を纏うだけでなく、
家やらクルマやら毛布やら・・・と、
“お包るみ”を心地よいと感ずる
本能があるのだろう。

誰しも、家の中には、
心地よい空間があるはずである。

それを通常は“居間”と呼ぶのだろうが、
自分の場合は、物心つく以前から
幼少期に十年にわたり
重症の小児喘息で
長期入院生活を強いられてきたので、
いつしか「習い性」となり、
「寝台」の上が生活基盤のように
身についてしまったようだ。

病棟では、
食事も読書も勉強も遊びも
ぜんぶ「寝台」上が
唯一の世界だった。

なので、健康優良児で
お産でしかベッド食をした経験がない
カミさんには、毎朝、
ベッドの上でコーヒー、新聞、
時に食事をしている
ダンナがナンダか解からないようだ(笑)。

・・・だって、
そこが、“世界”なんだもん・・・(笑)。

還暦を過ぎてからは、
文字通り、暦がひと回りして、
ご多分に漏れず、
「赤児還り」したように
休日には、終日、「寝台暮らし」で
夜明けから日暮れまで
時を過ごす事が多くなった。

どーせ、死ぬ時も
ベッドの上(=畳の上)が
いいに決まってるんだから、
“手回しに”普段から、
そうしてる、てなもんだぁ・・・(笑)。

*

おとついは、
安達の旧4号沿いに
『ツタヤ』の看板を見て、
閉店になったばっかの
近所の店を懐かしんで
ブラリと入ってみた。

狭い店内だったが、
パン屋やドトールも併設されており、
なんだか、懐かしい気分が
ちょいとだけ味わえた(笑)。

*

カミさんが、ちょいちょい、
コンビニやスーパーで
目新しい商品を見つけると
買ってきては試食させる(笑)。

そんで、ゆんべも
「エクレア、どうだった?」
と訊くので、
「ンマクなかった。
 コンビニ弁当並の味だった」
と正直に答えたら、
「なーんだっ」
だって(笑)。

┐(´ー`)┌   

おらぁ、毒見係かい・・・(笑)。

*

JC/JKじゃないが、
毎日、YouTubeサーフィンをやって、
オモロイもの探しをやっている。

きのうは、
『フライト・シュミレーター』で
“筋金入り”の趣味人を見つけ、
ご自身でも「アホだなぁ・・・」と
自嘲されながらも何年もかけて、
一室にフル・コンプリートした
“達人”“極道”で、ほとほと感心した(笑)。

ほぼ、すべて輸入ものだが、
一々「値段」も示し、
最終的にザッと目算したら
「250万」近かったから、
クルマ一台分である(笑)。

これぞ、趣味人の鑑である(笑)。

だけど、せっかく、
ラックを組んでるのに、
ホームセンター仕様のラックの
隙間埋めは段ボールという処に
腹を抱えて笑ってしまった。

なんだか、金のかけ処が
偏ってんなぁ・・・と(笑)。

自分なら、
せめて、プラスチーク・ボードとかで
キレイにすっけどなぁ・・・と(笑)。

それにしても、
趣味の世界とはいえ、
本物のシュミレーターと同様の
基盤類が売られているとは
恐れ入った。

大っきなユニット盤が
ひとつ40万もしたりする(笑)。

操縦桿も
ちゃっちいオモチャみたいのは
3万くらいでアマゾンでも買えるが、
高級品ともなると10万もする。

世界には、
【病膏肓に入る】で、
同様のホーム・シュミレーターを
組んでいる御仁が少なからずいて、
一様にYouTubeで
自慢げに公開している。

クルマ一台分もさることながら、
PC制御するのに、
そうとうな配線作業も要るから
筋金入りのオタクじゃないと
出来ないなぁ・・・(笑)。

でも、見てて、
食指が動かされて
「自分もやりてぇ」感が
ウズウズしだしので、
ちょっとヤバイかも…(笑)。

別動画では、
米国のみ先行発売されてる
『flight simulater 2022』の
画像を見たら、超リアル過ぎて、
実写と区別ができないほどで驚いた。

これなら、
2万くらいなので、
PCにインストールして、
世界中の空を旅行気分で
飛べるので、遊びとしても
高くはないかもしれないと思った。

『2020年』バージョンでは
日本語版もダウンロードできるので、
『2022』も日本発売された際は
そうなるだろう。

『グーグル・アース』同様の
世界的な鳥観図が見れるので、
自分ちの上空も飛べるはずである(笑)。

YouTubeでは、
ピラミッドの上や
アルプスの上を飛んでの
眼下の風景がある。

また、ベイブリッジの下を
小型機で曲芸飛行する、
なんていうのも定番らしい。

Win95時代に
戦闘機の『flight simulater』で
名機のスピットファイアや
ゼロ戦を操縦できて、
上空でエンジンを切って
グライダー飛行したりして
遊んでいたが、なにせ、
画像処理が“おんつぁま”だったので
風景はブロック状で
ぜんぜんリアル感はなかった。

あれが、
27年も経っての
『FS 2022』は、もはや、
実写と変わりなく、
その機能も本物のシュミレーターに
遜色がなくなった。

これは、買いだなぁ・・・
と思わされたが、
ただ、インストールするのに、
DVDが10枚もあり、
他にも、ダウンロードも要り、
一日がかりになるそうな・・・。

ま、ヒマは
馬に喰わせるほどあるから、
暇人、趣味人、好事家には
いい「電脳遊戯」かもしれない。

*

かの『マスク』を演じた
俳優のジム・キャリーが
ロシアに入国禁止になったという。

その理由が、
チーム・バイデンの一員である、
との事で、アタマを捻ったが、
検索してみると、
今のバイデンには
二、三人が演じ分けているらしく、
その顔相や挙動を詳細に分析して
同一人物ではない、というのだ。

ロシアが政府レベルで
入国を禁止した、
というのが、その事の
信憑性を高めた。

某アナリストによれば、
暗殺された安部氏も二代目で、
初代(本人)は菅元総理に
急に交代する直前に亡くなったと、
桜井議員がTVの生番組で
漏らして物議をかもした。

習 近平も二代目だというのは、
中国系の海外メディアが
報じている。

中間選挙の応援に出ていたオバマも、
本人のピョンピョン飛ぶような
歩き方でない別人だという。

プーチンさえも、
二代目といい、
今の方が頭のキレがいいという。

いずれも
真偽の方は定かではないが、
もう“なんでもあり”の
しっちゃかメッチャカの乱世なので、
どれもこれもショーを
見ているのかもしれない。

政治ショー、戦争ショー・・・と。

もっとも、
この宇宙・世界そのものが「幻影」で、
自分の「意識」ですら、
量子と同様に存在確率的な
「量子的現象」に過ぎず、
本来「時間」というものもない、
というのが近年の
量子力学的世界観である。

なにせ、
宇宙の95%は
ダークエネルギーと
ダークマターという
「暗黒=未知」なのである。

根源的な原始状態である
「量子真空」を「1」とすると、
そこから、「10」の何十乗という
「物質」が生じて、そこから
現在の「生命」や「意識」が生じた。

この科学的事実によれば、
始原の「1」なる状態を
発生上の単細胞である
「受精卵」と考えると、
そこには将来、すべての情報が
既にあり、それが、時間とともに
展開して多細胞化、組織化、
器官化して、個体を形成し、
やがて「意識」を宿す・・・
というプロセスに酷似している。

すなわち
「フラクタル・コレクト」
(相似関係的に正しい)
である。

始原の「1」の状態を
この宇宙の生成物(ヒトも含め)は
すべて共有するというのは、
最初から、エンタングルメント
(量子的もつれ)の条件を満たしている。

 

『E=mc²』という
アインシュタインの公式は、
エネルギーは物質と同じものである、
ということを示している。

受精卵に形質の分化をもたらすのは、
DNA(遺伝子)であるが、
これは『情報』である。

そして、それは、
デオキシリボ核酸という
物質・元素・素粒子によって
構成されている。

・・・敷衍して考えれば、
我われの「存在」とは、
「素粒子のランダムな振る舞い」
なのである。

ヒトもまた、
マクロなレベルながら、
物質的「粒子」にして、
エネルギー的「波動」でもある。

そして、その「存在」は
「量子もつれ」的に
宇宙の根源である
「量子真空」と関連づけられている。

創造主的な恣意性、
宇宙的な意志というものが、
介入しているのか・・・
という素朴な疑問に対しては、
すくなくも、我々に
「意識」がある以上、
それよりも高次元の
「意識」が存在している、
と考える方が論理的必然である。

それは、
発生的見地からも
「母体」があったからこそ、
「受精卵」が生じた、
という「鶏と卵」の関係である。

・・・ナンダカ、
途中から、ワケわかんなく
なっちゃったい・・・(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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震災短編『母燃ゆ』2

2022-11-23 07:54:56 | 創作

 激しい揺れの間は、誰もが、その場に立ち尽くし、あるいは、しゃがみこんで、離れることなぞ、とても出来やしない状況であった。

 今にも地球が壊れてしまいそうな激烈な揺れが突き上げてくるたびに、辺り一帯には
「キャーッ」
 という悲鳴と
「オォーッ」
 という怖れの叫び声とが入り混じった。 

 誰もが、どうしようもなく、大地の蠢きが収まるのを祈りながら待つより術がなかった。
 時間にして、およそ三分ほどだろうか。

 安穏な日常に生きる人間にとって、非日常の恐怖が三分も続くというのは、限界ギリギリのかなりに過酷な状況である。

 しかも、これは、ジェットコースターやスリラー館のように、やがて予定調和の安心が待っている作り物の怖さではない。
 先の判らぬ、自然現象なのである。

 誰もが、無事に着地、帰還できるとは限らない、その先には「死」が待っているかも知れぬ、底知れぬ恐怖である。
 この尋常でない地震の強さ、そして、その長い持続時間に、誰もが、紛う方なき大変な超巨大地震であることを悟った。

 三分を経て、さすがの「6強」も漸くにして止んだ。
 しかし、間髪を入れずに、「5」とも「4」とも発表される余震が、立て続けに数十回ほど襲ってきた。

 舞衣のケータイは、その心とシンクロするかのように、数分おきにブルルと振るえては「地震警報」を頻発させていた。
 目の前のアスファルトの路面には、何百メートルにも渡って亀裂が走っていた。

 道路上はどの車もノロノロ運転となり、自然に渋滞が発生した。

 路線バスは待てど暮らせど到着する気配すらなかった。 

 舞衣は震える足の外腿をパシリとひと叩きし、その場で己れに渇を入れた。
 そして、敢然と難局と対峙するかのように歩き始めたのである。 

 そう。人間には、移動器官である歩行脚があるのだ。これさえ、互い違いに出していけば、やがては帰宅が可能なのである。 

 三里の道も一歩から、であった。

            

 

 

 

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