北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ホームレス対策最前線

2009-04-17 23:02:14 | Weblog
 時々参加する比較住宅政策研究会という名の勉強会。

 今日のテーマは「路上生活者の社会復帰~地方都市『市川市』の挑戦」ということで、千葉県市川市によるホームレス支援についてお話を聞きました。

 市川市の路上生活者は現在150名余りで統計上は千葉県内で一番多いということになっています。

 そこで市川市は、市内各地に散らばる普通の民間賃貸住宅をステップハウスとして用いながら、この5年間で約200名の路上生活者を社会復帰させてきました。

 市川市の賃貸住宅の空き家率は12%。都道府県、政令市、中核市を除くと、全国で市川市と久留米市のみが、ホームレス自立支援計画を策定しています。今日の説明者は市川市のホームレス支援担当のAさん、なかなか芯のしっかりした方です。

 さて、最近の金融恐慌による不景気でホームレスも増加しているとのこと。 東京でのホームレス対応は即就労をねらうのですが、市川市では高血圧ではねられるケースが多いのだとか。

 ホームレスは家がないだけではなく、ホームを失っている状態。市川市ではNPOに委託して一人一人の事情を聞き取ると、病気、アルコール中毒、統合失調症など様々で、なかでも特に重篤な症状はアル中なのだそう。

 そしてアルコール中毒になる原因は、家族が一人一人と去って行き最後に一人残った寂しさから酒に走るようになってしまうのだとか。

 アルコール中毒になると、脳が萎縮してしまい、意思疎通を図ることや短期的な記憶を保つのが難しくなってしまうのだそう。

 そこで市川市では結核等健康診断、巡回指導員の配置、自立支援住宅を用意するなどの独特な政策を採り始めました。 

 しかし市川市がこうしたホームレス政策を採るようになったのは、地元のコアなホームレス救済団体との政治的闘争が原因だったというのは驚きでした。

 この団体が市役所に強行に働きかけたり激烈な反対闘争を繰り返したことでそれを逆に取り込んで納得させるために却って先鋭的な対策を打ち出したという歴史なのだそうです。

 今では市長を始め、「日本一のホームレス政策をやろう」という機運になっているのだそうですが、市役所内の担当者同士では「どうしてそこまでやる必要があるのか」といったぶつかりあいも日常茶飯事だそう。

 ホームレス対策をするお金があるのだったら子育てや介護に回せ、という声も大きいそうで、なかなか大変です。

 ホームレスに自立してもらうということがどれくらい大変なことか分かりました。行政の最前線は本当に大変です。
 
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2 コメント

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健康都市連合と市川市 (ラディウス)
2009-04-18 23:15:02
市川市は健康都市を標榜する代表格です
WHOの委員会と連携をとりながら、健康を基本にした都市経営を進める先導的自治体のはず。
社会の健康をWHOが提唱していますが、市川市はホームレスをテーマに、市民全員で社会の健康とはなにか?を生涯学習していると考えているのだと素晴らしい!明日は我が身のテーマですから、眼をそらさずに考えたいものです
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そう感じました (管理人)
2009-04-19 21:12:58
 担当者ご自身は庁内外でいろいろな軋轢に苦しんでおられるようなのですが、一貫して、やはり「見殺しにはしない」という一点で筋が通っていました。ご立派です。

 生活保護は、実際は受け入れるかどうかでかなり制約を掛けているのが実態だとか。楽してお金がもらえるなら、と自堕落な人も中に入るに違いありません。本当に必要としている人に対してはきちんと措置しなければ行けないのに。

 ちなみに、住まいがあるということは生活保護を申請するための前提ではないのだとか。家が無くても生活保護は申請出来るというのが法律に書いてある制度。
 それを、「家がなければ渡せない」とハードルを挙げているところが多いとか。制度運用の最前線の方の苦労が偲ばれます。
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