北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

得にならないことをしないと成長できない~鍵山さんの講話より

2015-11-07 23:17:29 | Weblog

 

 今日は完全オフで部屋の掃除などを少ししました。

 掃除をしていると次第にどこが汚れているかが見えて来るようになります。掃除をしない人は、掃除や汚れに関心がないということもありますが、まずは汚れに気が付いていないのです。

 かつてある人に言われました。「小松さん、あなたが気が付いたのならあなたがやらなきゃだめですよ。他の人は言われても気がつかないのですからね。僕はそれを『気付いちゃった者責任』と呼んでいます。気が付くというのは能力が高くて、それをする責任が生じるんです。他の人に任せちゃだめですよ」

 『気付いちゃった者責任』というのは面白いけれど、深い意味を持つ言葉です。 

 気が付いたら自分でやるしかない。気が付かない人が気付くのを待っていては物事は進まないのです。


       ◆   


 11月号の雑誌『致知』に、イエローハットの創業者で現在は日本を美しくする会相談役の鍵山秀三郎さんの講話を元にした記事がありました。

 鍵山さんは会社の経営者だった時代に、社員の心の荒みをなくしたいと創業時に始めた掃除の実践を続け、今日まで五十年以上に及ぶ運動の輪は会社の枠を超えて日本のみならず世界にも広がりを見せています。

 鍵山さんの日本を美しくする会というのは、「掃除を通して、自分たちの『心の荒み』と『社会の荒み』をなくすことを目指している『心磨き』の会」です。

 「ひとつ拾えばひとつだけきれいになる」って良い言葉ではありませんか。

 さて鍵山さんはご自身のことを「もともと怠惰で、無気力でただ遊ぶしか能のない少年でした」と振り返っています。それが十一歳の時に戦争で親元を離れて疎開をし、そのことで初めてそれまで自分がいかに親に世話になってきたか、親というものがいかにありがたいかということを実感しました。

 「人間というものは、人から愛されたり、守られたりしていることに対しては極めて鈍感で、逆に、自分の意に沿わないことに対してはとても敏感にできているんです」
 なんと含蓄の深い言葉ではありませんか。

「学歴も知識も技能も才能もない自分は、何もなかったから辛いことを我慢しました。少しでも何かの能力があったらあそこまで我慢しなかったと思いますが、それゆえに覚悟を決めてやるしかないと決断したのです」

「独立して十五年経った昭和51年に私は年商51億円のうち29億円を占めていた会社と取引を停止する決断をしました。周りからは『すぐに潰れるぞ』と散々言われましたが、それを貫きました。『背水の陣』と言いますが、背水ならばまだ少しは後ろへ下がれます。私の場合は『水中の陣』でもう絶対後には引けない、前に進むしかないという状況でした。しかしそのときの決断のお陰で当社だけは存続することができました」

「人から不可能だと言われるような常識はずれのことに挑戦しようとすると、必ずいろんな壁が立ちはだかります。
 ドイツの哲学者ショーペンハウエルは、何事かを始めて成功するまでには三つの段階があると言っています。
 第一段階は笑い者になる、第二段階は激しい反対・抵抗を受ける、そしてそれを超えた第三段階でやっと成功を遂げることができるのだと」

 鍵山さんはいつも朝三時間、近くの公園の掃除と草取りをしています。自分には何の得にもならないけれど、『人間は自分の得にならないことをしなければ成長できない』のです。

 
     ◆ 


 講演の後の質問で、会場から「先ほど、大口顧客との取引を止められたとおっしゃいましたがその理由はなんだったのでしょうか」と訊かれた鍵山さんは、「それはその会社に商品を治めていた会社が次々に潰れていたからです。このまま取引を続けていても、社員は決して幸せになれないと感じたので離れる決断をしました。今このときの都合ではなく、将来の自分の姿をしっかりと見極めて決断することが大切だと思いました。

 そして「今の日本人の大半は幸せではないのではないかと心配をしています。なぜかというと、『目の前のことが自分に都合よくなることを幸せだと思う風潮があるから』です。幸せというのは目の前の好都合とは全く関係がないのです。トルストイが『努力は幸せになるための手段ではない。努力そのものが幸せを与えてくれるのだ』と言っていますが、まさにそのとおりだと思う」とおっしゃいます。

 あるべき生き方にも気が付いた方が良いですし、気が付いたならば、鍵山さんにはなれなくても、少しずつでも実践できるようにしたいですね。
   

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