いよいよ今日は幌加内新そば祭り。
天気は上々で、来客も多そうな予感。これは期待できそうです。
北海道そば研究会のブースに立つ私のパートは、昨年に続いて今年も天ぷら。
今日の天ぷらそばのメニューは、えび天とかぼちゃ天の二種類で100円増しというやさしい課題。
今日の目標は1000食で、そのうちえび天は320本が予定されています。
ところが朝6時の集合時に、「ちょっとネギを切ってくれる?」と頼まれ、その作業に移行。ネギ切りといっても、千食分となると軟白ネギで40本という大量の作業。
幸い切るのにその名も"Negee"という、ネギ切りマシンがあるので、これを使います。しかしそれでもゆうに一時間はかかってしまい、スタートがやや遅れました。
イベントのスタートは朝9時からなのですが、8時半ころにはそろそろ人が集まり始め、なんとなく気ぜわしくなってきます。
天ぷらは冷えたってかまわないので、とにかくひたすら揚げまくっておいて、天ぷら待ちにならないように気を付けなくてはいけません。
元々イベントとなると天ぷらを担当しているIさんにつく形で、いよいよ天ぷら開始。
えび天は、周りのスタッフが解凍から粉つけまで下ごしらえをしてくれていたので、あとは揚げるだけです。
二年目となると少し離れたもので、えびの揚げ加減だけではなく、温度管理や天かすの処理などにも目が向くようになりました。
11時くらいからいよいよ列が長くなり、テントの中も空気が張り詰めてきます。
一生懸命に天ぷらを揚げていると、たまに「小松さーん!」と友人が声をかけてくれます。もちろん僕だけのためではないでしょうが、わざわざ遠くから来てくれて顔を見せてくれるのはうれしいものです。
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きょうのえび天320尾は、2時ころに売り切れたのですが、売り切れたのがちょうど私の友人が天ぷらそばを受け取ろうとした時だったようで、なんとも間の悪いことになりました。
えび天の後は、かぼちゃの天ぷらも手伝いましたが、なんだかんだで、朝5時から夕方の3時くらいまでほとんど座ることもなく、立ちっぱなしで作業をしていたので、一段落するとさすがに疲れました。
二時半ころになって、ようやく客足が落ち着いてきたころになってようやく、スタッフが少しずつまかない食でそばを食べ始めます。
僕も、何年もこの北海道そば研究会でイベントに参加していますが、毎回ここの蕎麦は特につゆが美味しいといつも感動しています。
今日もまかないで一気に、かけそば二杯と盛り蕎麦二杯を食べてようやく少し落ち着きました。
今日のイベントが終了して、宿泊場所へ戻り、いつも汁作りを担当している会長と飲んでいると、話題は「汁作りのコツ」になりました。
「小松さん、気がついてたかい?うちは暖かい蕎麦と冷たい蕎麦では返しを別々に作っているんだよ」
"返し"とは、醤油とみりんと砂糖を入れて作っておく味の素材で、現場ではこれにだしを取ってこれを合わせて、かけ用の汁ともり用の汁を作るのです。
「何が違うんですか?」
「かけ汁は色の薄い醤油を使うのさ。もり蕎麦と同じく濃い醤油を使うと、見た目が真っ黒でしょっぱそうに見えちゃう。だから色が薄い醤油を使って、そばの麺が見えるようにする」
「なるほど、では出汁はどういうも工夫をしているんですか?」
「出汁は7種類の素材を入れているよ。干しシイタケ、昆布、アゴ(トビウオ)、ウルメイワシ、そうだカツオ、本枯れ節、サバ節の七種類だね」
すると横から会の事務局長が、「年々、出汁の素材が増えて原材料費がすごく高くなっているんだから(笑)」とささりこんできました。
「一人前の汁に40円~50円くらいかけているでしょ。こんなの、悪いけれど、ご商売をしているところだったら絶対にやらないよ(笑)」
北海道そば研究会は、かけ蕎麦ももり蕎麦もおいしい理由の一端がこういう工夫にあったのかと、長年やっていて初めてわかりました。
「汁は大量に作るとやっぱりおいしくなるね。家庭用で少量だとどうしても素材の分量を多く必要とするしね」
改めておいしい蕎麦の奥は深いと知りました。
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「ところで事務局長さん、明日のえび天の数はいくつですか?」
「ん?今日が320だったでしょ、明日は五割増の480」
「480!?多くないですか?」
「大丈夫、明日も天気は何とか持つし、日曜日にはツアーが入ってくる。ツアーの客は、大体が天ぷらを頼んでくれるのさ。さあ、明日も頑張ってよ!」
明日は、今日異常に長くなりそうな一日です。 (ちなみに今日は900食が売れました。明日の目標は1200食です)