台風14号はどうやら北海道を直撃の様子。気を引き締めて乗り切りましょう。
さて今日は、
■アイルランドの英語 の1本です。
【アイルランドの英語】
私のブログを読んでくださっている読者の一人から、下記のメールが寄せられました。月曜日の中村先生の講演ではアイルランドが英語圏であるために、経済上昇の波に乗ることが出来た、という趣旨のことを書きましたが、事情通の目から見ると、また違った姿が見えてくるようです。
ではご参考までに
* * * *
(一読者より)
アイルランドについてお書きになっていましたので、一言。
アイルランドは、確かに事実上英語圏なのですが、国の第1公用語は、アイルランド語なのです。英語は、第2公用語の位置付けになっています。
アイルランドは、数百年に及ぶイギリスの植民地支配の結果、いろんなものを失ってきたようです。中でも、固有の言語をほぼ失ってしまったことは、現在でも国の施策に大きな影を落としています
アイルランド共和国において、アイルランド語を母語としている人は、現在2万人程度と聞いています。
有名人の中では、ヒーリングミュージックのエンヤが挙げられます。エンヤは最初、兄弟と一緒に「クラナハ」というケルト音楽のバンドで活動していたのですが、後に独立して独自の世界を築いた人です。
エンヤの生まれたドニゴールはアイルランドの北西端にあり、この地方では今でもアイルランド語が第1言語として使用されています。エンヤは小学校の寄宿舎に入ってから英語を覚えたようです
アイルランドには、今でも北アイルランド問題が厳然として存在しています。
北アイルランド、アルスター地方と言いますが、ここには、17世紀頃にスコットランドから移住した新教徒が定住し、カトリック系のアイルランド人と対立を繰り返して来ています。
もともとアイルランドは、イギリスより早く6世紀からカトリックが根付いているというカトリックの盛んな土地です。そのアイルランドにおいて、イギリスが武力を背景に植民地支配を強めていたのはご存じと思います。
その極端な形が、北アイルランド問題となって顕在化している訳です。
北アイルランドでは、警察官はすべて新教徒が占めています。イギリスでは、ふつう、自分はイギリス人だとは思っていなくて、むしろイングランド人とかスコットランド人とかウェールズ人と思っているのですが、北アイルランドだけは、自分はイギリス人だと主張する人が結構多いと聞きます。それだけ、北アイルランドはイギリスとの一体感を主張する雰囲気にあります。
こういう歴史を抱えてますから、アイルランド人にとって、英語とは政治的に見れば支配者の言語であり、忌むべき存在です
当然、18~19世紀頃に全国のほとんどの地域から失われたアイルランド語を復活させようと、様々な活動が盛んに取り組まれています。もちろん、国が率先して行っているのです。
アイルランド政府のHPをご覧いただけばわかります。かならずアイルランド語と英語の2言語表記になっています。
大多数のアイルランド人は、いまや英語しか話しませんし、英語の生活に不自由していませんし、英語が生活の糧になることをありがたがっている人も多いでしょ
う。でも政治的、歴史的に見ると、必ずしもその状況を手放しで喜ぶわけにはいかないのです。
* * * *
というのが、一読者さんからのメールでした。日本でもアイヌの人たちとの間の悲しい歴史がありますが、アイヌ語を残そうと活動している方もまだおられます。
何より、北海道に残るアイヌ語をベースとする地名の数々は、感じでは読みづらいにせよ立派な歴史遺産であり文化であると思います。
アイヌ語の地名は、特殊な場所を表す言葉ではなく、「フレ・ペッ=赤い・川
」のように一般的な説明が倭人の地名として残っているので、道内には同じ環境を説明した場所が多く、「ポロ・ト=大きな・沼」や「モ(ン)・ペッ=静かな・川」といった場所があちこちにあるのはそのせいである。
アイヌ語が分かる人は、地名を聞いただけで「ああ、その近くにはこれこれの場所がありますね」と分かるという。
藻岩山のアイヌ語地名は「インカルウシペ=いつも物見をするところ」であるが、これと似た名前で小高い岩があるのが遠軽(=インカルウシペ)であるのは偶然ではないのだ。
先人の残してくれた名前は文化として大事にしたいものだ。
はは、今日は一読者さんのおかげで楽をしてしまいましたねえ。
さて今日は、
■アイルランドの英語 の1本です。
【アイルランドの英語】
私のブログを読んでくださっている読者の一人から、下記のメールが寄せられました。月曜日の中村先生の講演ではアイルランドが英語圏であるために、経済上昇の波に乗ることが出来た、という趣旨のことを書きましたが、事情通の目から見ると、また違った姿が見えてくるようです。
ではご参考までに
* * * *
(一読者より)
アイルランドについてお書きになっていましたので、一言。
アイルランドは、確かに事実上英語圏なのですが、国の第1公用語は、アイルランド語なのです。英語は、第2公用語の位置付けになっています。
アイルランドは、数百年に及ぶイギリスの植民地支配の結果、いろんなものを失ってきたようです。中でも、固有の言語をほぼ失ってしまったことは、現在でも国の施策に大きな影を落としています
アイルランド共和国において、アイルランド語を母語としている人は、現在2万人程度と聞いています。
有名人の中では、ヒーリングミュージックのエンヤが挙げられます。エンヤは最初、兄弟と一緒に「クラナハ」というケルト音楽のバンドで活動していたのですが、後に独立して独自の世界を築いた人です。
エンヤの生まれたドニゴールはアイルランドの北西端にあり、この地方では今でもアイルランド語が第1言語として使用されています。エンヤは小学校の寄宿舎に入ってから英語を覚えたようです
アイルランドには、今でも北アイルランド問題が厳然として存在しています。
北アイルランド、アルスター地方と言いますが、ここには、17世紀頃にスコットランドから移住した新教徒が定住し、カトリック系のアイルランド人と対立を繰り返して来ています。
もともとアイルランドは、イギリスより早く6世紀からカトリックが根付いているというカトリックの盛んな土地です。そのアイルランドにおいて、イギリスが武力を背景に植民地支配を強めていたのはご存じと思います。
その極端な形が、北アイルランド問題となって顕在化している訳です。
北アイルランドでは、警察官はすべて新教徒が占めています。イギリスでは、ふつう、自分はイギリス人だとは思っていなくて、むしろイングランド人とかスコットランド人とかウェールズ人と思っているのですが、北アイルランドだけは、自分はイギリス人だと主張する人が結構多いと聞きます。それだけ、北アイルランドはイギリスとの一体感を主張する雰囲気にあります。
こういう歴史を抱えてますから、アイルランド人にとって、英語とは政治的に見れば支配者の言語であり、忌むべき存在です
当然、18~19世紀頃に全国のほとんどの地域から失われたアイルランド語を復活させようと、様々な活動が盛んに取り組まれています。もちろん、国が率先して行っているのです。
アイルランド政府のHPをご覧いただけばわかります。かならずアイルランド語と英語の2言語表記になっています。
大多数のアイルランド人は、いまや英語しか話しませんし、英語の生活に不自由していませんし、英語が生活の糧になることをありがたがっている人も多いでしょ
う。でも政治的、歴史的に見ると、必ずしもその状況を手放しで喜ぶわけにはいかないのです。
* * * *
というのが、一読者さんからのメールでした。日本でもアイヌの人たちとの間の悲しい歴史がありますが、アイヌ語を残そうと活動している方もまだおられます。
何より、北海道に残るアイヌ語をベースとする地名の数々は、感じでは読みづらいにせよ立派な歴史遺産であり文化であると思います。
アイヌ語の地名は、特殊な場所を表す言葉ではなく、「フレ・ペッ=赤い・川
」のように一般的な説明が倭人の地名として残っているので、道内には同じ環境を説明した場所が多く、「ポロ・ト=大きな・沼」や「モ(ン)・ペッ=静かな・川」といった場所があちこちにあるのはそのせいである。
アイヌ語が分かる人は、地名を聞いただけで「ああ、その近くにはこれこれの場所がありますね」と分かるという。
藻岩山のアイヌ語地名は「インカルウシペ=いつも物見をするところ」であるが、これと似た名前で小高い岩があるのが遠軽(=インカルウシペ)であるのは偶然ではないのだ。
先人の残してくれた名前は文化として大事にしたいものだ。
はは、今日は一読者さんのおかげで楽をしてしまいましたねえ。
