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駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇花組『DANCE OLYMPIA』

2020年01月18日 | 観劇記/タイトルた行
 東京国際フォーラム、2020年1月8日18時、14日18時。

 第1幕ではギリシア神話の英雄・アキレウスが現代のニューヨークへタイムスリップしたことから起こる騒動をコミカルに、第2幕は世界の多彩なパフォーマンスがダイナミックかつ華やかに繰り広げられるダンスコンサート。
 作・演出/稲葉太地、作曲・編曲/太田健、高橋恵、長谷川雅大。花組新トップスター柚香光のプレお披露目公演。

 初日タイムラインから「とにかく踊りまくり」みたいな情報を得ていたのですが、本当にダンス!ダンス!!ダンス!!!なダンス・コンサートでした。コンサートというと歌がメイン、というイメージですが、完全にそのダンス版。本公演のショーはもうちょっと作品としての体裁、枠組みたいなものがあることが多いと思うのですが、今回はそれがなくて、とにかくダンスを詰め込みました並べました見たいやらせたい踊りみんな入れました!みたいなコンセプトに感じられて、潔くて良いです。まあもうちょっと歌手もいてもいいやろ、とは思いましたが…せめてカゲソロの下級生たちは舞台に出してもよかったんじゃないかしらん?
 もちろんオリンポスとか2020年とかの枠は一応ありますし、ちゃんとひとつの場面になっている部分もあるんだけれど、とにかく綺麗すぎていないというか、整えすぎていない印象を受けました。それも、あえてそうしていたんだと思うんですよね。そしてそこがいい。いいプレお披露目公演だし、別箱だからこそできるおもしろいチャレンジかなと思いました。どなたかの感想ツイートに「すれっからしのファンでも感動する」みたいな言葉がありましたが、私がまさしくそれでした。
 第1幕はお芝居仕立て。れいちゃんアキレウスがタイムスリップして、親友パトロクロスとそっくりのマイティーやその仲間のひとこ、ほのちゃんと出会って、オーディションやダンス対決…と、まあわりとよくあるストーリーではありますが、ダンスがちゃんと目新しくてよかったです。私はくわしくないのですが、おそらく日本のアイドルとも韓流アイドルともまた違う現代的な(という形容詞がそもそも自身の反現代化、老化を示していることには気づいています)ヒップホップふうダンスを、れいちゃんが素敵にバリバリ踊ってみせてくれて、見惚れました。
 こういうダンスは宝塚歌劇の本公演のショーやレビューだとどうしても、若手スター8人口とかにごく短い一場面でちょっと踊らせて終わり、みたいになりがちですけれど、本当はもっと深いし濃いしバリエーションもいろいろあるし見せ方も文法ももっと違うダンスなはずなんですよね。そのあたりにチャレンジしている姿勢が新鮮で、よかったのです。宝塚歌劇の場合は、究極的にはダンスとしていい、上手いとかよりスターとしてカッコよく見せられる、ということの方が求められるんでしょうし、それでいいしそうあるべきなんだと思うんだけれど、それとは別にこういう機会に、高いレベルのいろいろなダンスを純粋に追求してみる、習得を目指してみることって大事だと思うし、それをトップスターができちゃいそうならそらやらせてみたいし、みんなも引っ張られてがんばるしいいことだよね、というのをまざまざと見せつけられた気がしました。
 その一方で、わりとありがちではあるブロードウェイのショー・ステージだの夜の公園のデュエットダンスだのにはこれまでのミュージカルの、そして宝塚歌劇の、花組のダンス場面のオマージュなんかも垣間見えて、そういう伝統継承とリスペクト、さらなる追求とブラッシュアップも大事!と感心しました。そういうバランスがとてもよかったです。
 しかしこの第1幕が前座に思えるくらいに、第2幕は圧巻のダンスダンスダンス祭りだったのでした…! もちろん単純に上演時間が長い、というのもあるのですが。
 幕開きは和太鼓、法被の下の黒はソーランのときのものかしらん? リズムで滾って、客席下りとタオルを使っての客席参加もあって、私はタオルは買いませんでしたがクラップ参加だけでも難しかったし楽しかったし、盛り上がりました。
 その後のれいちゃんのソロ歌客席下りタイムは、まあこれからはトップスターってこういう座持ちもさせられるし選曲にもよるけどもう少し聴かせられるようになるといいんだろうから、発奮してください…悪くはなかったかと思いました(^^;)。
 次がひとこサロメとほのかヨカナーンの場面かな? こりのちゃんが語り部。がっつり男顔したひとこが長いウェーブの髪振り乱してバリバリ踊るのも最高、パンツの隙間からチラチラ脚見せるのも最高、とまどい怯え抗うほのちゃんを追い詰めるの最高! 断首はどうするんだろうと思っていましたが、ちゃんとひとこの長く美しい腕がほのちゃんの首をかっ切って見えました。拍手の入れようがない終わり方もいい。ナギショーのヘロデ王に出てきてもらって「あの女の首を斬れ!」と言ってもらいたいくらいでした(作品が違います)。
 そしてシャンゴ、これもおもしろいダンス、場面でした。ちゃぴのときのお衣装のアンサンブルもいい! 神話によれば華ちゃんとマイティーはともにれいちゃんのお妃さまなのかな? でもふたりが王の寵愛を争っているというよりは、それぞれ違う力を王に授けようと競っているようで、華ちゃんとマイティーはちゃんと違うところで勝負しているようでよかったです。てかデコルテも背中も腕もマジで凜々しいというか雄々しいなマイティー!(褒めてます)
 なみけーの「クンバンチェロ」からのラテンもノリノリでみんな熱く素晴らしく、そこからの下級生男役娘役各8人がかわるがわるバンバン出てきてアピールしまくる「Explosion」もとても良くてテンション上がりました。
 なのに一転してのフラメンコ場面、れいちゃんの鬼気迫る美しさ激しさよ…! みんなが加わってからの構成も素敵でしたし、場面終わりのひとこソロもとてもよかったです。
 花組メドレーは、大好きな「ビューティフルラブ」をひとこで聞けて嬉しかったのと、れいちゃんがナツメさんの「Dance with Me」を歌ってくれたことが嬉しかったです。「心の翼」があるのは聞いていたんですけれどね。久々にダンスの花組が復活しますよね…!
 主題歌からのラインナップもよかったです。みんな弾けてました!

 れいちゃん、改めてトップスター就任おめでとうございます。なんかのショーでなんかの抜擢を、ってのはスカステ「はじまりの時」を見ていて思い出しましたがルパラのフィーでしたね。ダンスはもちろん芝居がいいスターだと思うので、大劇場二作目は文芸路線のお芝居よ来い!と願っています。
 華ちゃんは私は顔が苦手なんだけれど(すみません…)、今回も歌もダンスもがんばっていたと思いますし、これからどんどん磨かれると思うので期待しています。ブリーゼ、よかったよね。強い女も似合いそうで楽しみです。
 れいちゃんの相手役はむしろマイティーだったかな、みたいな八面六臂の大活躍でしたねマイティー。これまたこれからさらに期待しています。
 組替えしてきたひとこの華や佇まいがこれから組と本人にどう作用していくか、これまた楽しみです。
 ほのちゃんも新体制下でよりのびのび育っていろいろ吸収できるといいなあ。
 そして気がつけばキョンちゃんとさなぎがすごく良く目立っていてさすがの上級生で、頼もしかったです。さらになみけーの上手さもやはり貴重だと思いました。戦力になっていきますね。
 娘役ちゃんはもっと個別に顔を覚えたかったなあ、かがりりやなっち、うららちゃんくらいはもちろんわかるんだけれど、ちゃぴ似の星空美咲ちゃんもあーちゃん妹の美里玲菜ちゃんももっとゆっくり見たかった。都姫ここちゃんも識別できるようになりました。他になんかいつも目が笑っている可愛い子がいたんだけれど、誰だろう…
 あ、あとはらいとばっか見てました可愛いよ愛しいよいつも一生懸命で全力投球で好きだよ清々しいよ晴れ晴れするよ!!!
 あとは何度でも言いますがさっさとはなこに新公主演させてくださいね劇団…!

 体力勝負だろうし、全員怪我なく完走することを祈っています。『はいからさん』再演にはあまりテンションが上がらないんだけれど、いつかナツメさんのショーの再演をするとかはおもしろいんじゃないかしらん。これからも期待しています!




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