駒子の備忘録

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『一万年後も君は世界でいちばん美しい』

2014年08月10日 | 観劇記/タイトルあ行
 東京芸術劇場シアターウエスト、2014年8月10日マチネ。

 ここはかつて日本の首都だった街。しかし数十年前に起きた壊滅的な地震のため、街並みはすっかり荒廃し、後退した海岸線には積み石が詰まれて賽の河原のようにも見える。そこに若い男(早乙女太一)が犬とともに現われる。かつて恋焦がれた女性をあてもなく探しているようでもある。そこへ、見るもいまわしい姿の老婆(松田美由紀)が通り過ぎる…
 原作/三島由紀夫、演出/中屋敷法仁、脚本/畑澤聖悟、企画/松田美由紀。全一幕のふたり芝居。

 松田美由紀は確か『ドレッサー』が良くて舞台女優として好きで、中屋敷さんは劇団「柿食う客」の公演などを何度か観ていたので、台風の最中いそいそと出かけました。
 が、ワケわかりませんでした…
 私が三島由紀夫の近代能楽集『卒塔婆小町』を未読なせいかもしれませんが。小野小町と深草少将の百夜通いの話もちゃんとは知らないし。
 ただ私が感じたのは、これは時間とか運命とかに逆らって恋する男女の話なのかな、ということです。
 男が女を愛すると、女を美しいと思い、百年たっても、一万年たったとしても変わらず美しいと思ってしまう。でも本当はそんなことはありえないわけで、時間とともに何もかもが移ろうのです。けれど恋する男にとってそんな真実なんかどうでもよくなって、世界はただ恋する美しい女だけになってしまう。
 世界はそんな男を許さない。だから男を呪い、時間の中に閉じ込める。女にはそれがわかっているから、自分を美しいなどと言わないでくれと男に懇願する。でも男は聞き入れないし、だから女もまた時間に呪われ囚われる。死して成仏することなくただ時間の中を繰り返しさまようことになり、何度も何度も男との出会いと別れを繰り返す。老婆の姿で出会っても男にはやがて彼女が美しく見え、男は再び彼女を美しいと言い、ふたりはまた時間に囚われる…
 そんな、お話。
 女が逃げようとしても、避けようとしても、そうさせない男。そんな男を見捨てられない女。別れたら忘れてしまうのに、探し続けることはやめられず、結局また再会してしまう。そんな呪いの物語。
 そんなことは、感じました。でも退屈したけど…

 松田美由紀の年齢相応のデコルテというか脇乳というか背中の肉がリッチでたまりませんでした。おしまい。

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