駒子の備忘録

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細川智栄子あんど芙~みん『伯爵令嬢』(秋田書店ひとみコミックス全12巻)

2014年03月21日 | 乱読記/書名は行
 ここはフランス、時は19世紀末、ラ・ベル・エポック(華やかな古き良き時代)。パリでは万国博が開かれエッフェル塔がそびえ立ち美しく着飾った貴婦人たちが恋とロマンを求めて街にあふれていた。パリから遠く離れたブルターニュ半島の施設で、子供たちの世話をしながら楽しく暮らしていたコリンヌだったが…

 『王家の紋章』は読んだことがあったのですがこちらは未読で、宝塚歌劇でミュージカル化されるというので読んでみました。
 しかしすごいね!
 今も連載中の『王家~』もそうなんだけれど、このネーム、このデッサンでプロとしてやっているというのがすごい。デビューしてもう40年くらい? まったく進化も退化もしていないというのがすごい。普通は良かれ悪しかれ絵柄が変わるんですけどね漫画家さんって。でもこの人はまったく変わらない。描き文字のデザインですらも。
 しいて言えばストーリーテリングの才能がある…ということなのかなあ? でも荒唐無稽で素人の妄想となんら変わりはないんですよね。でもそれを力尽くで長年やってきているからもう誰も口出しできないしある程度の支持はある、ということなのかなあ…いやあまったく不思議です。
 ともあれとても古典的な少女漫画で、ヒロインがあれこれ巻き込まれてはなんとかなっていく話なので、これをトップ男役が演じる男性主人公の話に上手く変換できるかどうかが肝でしょうね。公演概要からするとアランを主人公にするようですが、意外にキャラが立っていない役なのでそのままでは難しいでしょうね。
 普通なら考えられないことですが、原作漫画でコリンヌが出会うのはまずリシャールなのです。普通これは相手役フラグです。アランもコリンヌのおてんばぶりと活躍を見初めるシーンがありますが、そのくだりはコリンヌとリシャールが出会ったあとに描かれますし、その後アランはリシャールの友人として再登場するので、これはむしろ恋敵ポジションなんですよね。
 リシャールは盲目ですがやがてコリンヌと心を通わせあう。そこへコリンヌの出自が判明し、生家へ向かう途中で事故に遭い記憶を失い、アンナになり代わられてしまう…すごい展開です。
 アランは記憶を失ったコリンヌを助け、彼女に自分たちは恋人同士だったと嘘を教えます。アランは友達のリシャールから恋人をかすめ取った形になるのです。これって完全に悪役ポジションですよね。
 でも話としてはその後アランがコリンヌの相手役として展開していき、手術で目が見えるようになったリシャールが再登場してもコリンヌの相手役の立場は奪い返せないままに終わります。ひどい構成だよ…
 またコリンヌがホントに主体性のないキャラでさ、やたらモテるのは少女漫画のヒロインの義務みたいなものだからいいにしても、口説かれたらそれだけでその人にフラフラしちゃうようにしか見えないキャラクターなんだよね。つらいわー。
 そしてアンナのまた古典的な悪女っぷりがものすごい。このあたりも含めてうまく改変しないと美しくならないかもしれませんね。でも逆に言えばなんとでも変えられそう。楽しみです。
 ちなみに私はフランソワとシモンに注目しています(笑)。こういうキャラクターが好みなのです…! 配役発表が待ち遠しいです。

 他にも宝塚歌劇に似合いそうな少女漫画は数ありますが、なかなか実現しないのは何故なのだろう…そしていつも斜め上から来るよねこういう企画って…不思議です。

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