東京宝塚劇場、2003年5月22日ソワレ。
15世紀、百年戦争下のフランスは分裂し、王家の権威は失墜していた。傭兵部隊「アンジューの一角獣」の指揮官ピエール(和央ようか)は、普段は盗賊まがいの荒れた生活をしていた。ある日ロレーヌの雪原で旅人に略奪を働こうとすると、一行の中に男装した美少女がいた。彼女こそフランス全土で「神の子」と噂されるラ・ヒュセルことジャンヌ・ダルク(花総まり)だった…原作/佐藤賢一、脚本・演出/石田昌也、作曲/西村耕次。
チケットを譲ってくれた知人が一言、「下品」。ははは、確かにね。
私は原作者は直木賞受賞作の『王妃の離婚』とかが特に好きで、原作も昔楽しく読んだ記憶があるのですが…そしてこのお芝居も、やっていることはわりと少女漫画なのですが…45度とか90度とか微妙にずれてて、妙に不愉快だったりお尻のあたりがむずがゆい感じがしました。
荒れた生き方をしていた男が、純粋な少女に目覚めさせられていく、という、ある意味で非常に女性観客に楽しく気持ちいい流れであるはずなんですけれどねえ…
「戦争が終わったら操を捧げるから」
と言われて一度は引いた男が、再会したときには本気になりかけてかえって申し出を拒み、そのうちに彼女の身に災難が…なんて、ド少女漫画でしょう?
ジャンヌの天然ボケぶりとかはいじらしく可愛くもあるのですが、それを周囲が笑う構図が笑えなくしているというか…生娘とか純潔とか操云々といった言葉を、「カクシンハン的」とか言われているらしい男性脚本家が未婚女性であるタカラジェンヌという女優たちの口に言わせているその構図が、厭らしく感じられるというか。同じようなストーリーでもレディスコミックと青年誌の漫画がちがうような違和感、に近いかな?
ワルぶりが今ひとつタカコさんのニンでなかったことも一因かもしれません。
同じ話でも柴田先生だったらもっと女性に見やすくかつ色っぽくセクシーに作ったんじゃないかしらん…というのはひいきの引き倒しでしょうか。
もうひとつの大きな不満が、伊織直加と水夏希の使い方。「いわゆる二番手三番手と言われる男役スターが"主役のオトモダチ"として登場する事くらいつまらない舞台はない」とわかっているなら、パンフレットで言い訳なんかしてないでなんとかしてくださいよ、石井先生。ふたりとも後半にならないとてんでしどころがない役なんだもんなあ、もったいない。でもきちんとキャラクターを作っていたところはこのふたりのすごさだと思います。
卒業の花道に大役を与えられた椿火呂花でしたが、がんばって大きく作っていましたがやはりまだ早く無理があったか…ショーではすごく明るく素敵に笑っていて、こんなに美人だったんだとやっとちゃんと認識できました。将来を嘱望されていたのに退団が残念です。
役者でいちばんよかったのはシャルル7世の愛人アニエスを演じた貴柳みどりだったかなあ。わずか一場面の出番なのですが、台詞と役作りが的確で明晰で、いかにも悪巧みしていそうな悪女ぶり、本当にすばらしくて、お芝居が引き締まりました。
逆にラストのヨランドは役者のせいではないですが台詞が長くてくどくどしい。それと、ピエールはあんなに簡単にこの顛末にうなずいてはいけないと思うのだけれど…この「罰」を受けることは自分のジャンヌへの愛を認識すること、愛を告白することに他ならないんだからさ。カタルシスが今ひとつでこれまたもったいなかったです。
そうそう、鎧の衣装も今イチだった…材質的に仕方がないのでしょうが、防寒服みたいに見えてしまったので。時代がちがうけど『スパルタカス』なんかのお衣装の方がよほど鎧っぽかったのではないかしら…あっ、あと銀橋の使い方の下手さに辟易しました。オープニングから続けて三度ほとんど同じ形で主役に銀橋渡らせるなんて間抜け以外の何者でもないよホント…ああ、なんか結局不満の羅列になっちゃったかしら…
『満天星大夜総会』は1920年代上海のグランドキャバレーの雰囲気を醸し出すレビューデラックス。作・演出/斎藤吉正、作曲/高橋城。
派手で華やかで楽しかったです。
しかし歌が上手い人が全然いないんだなこの組は…歌詞も音も全然聞こえてこなかったです。アップテンポで楽しい曲が多かったようなのですが…明晰な四季のあとだっただけに耳につらかったです。
背が高くて目立つので組替え前から注目していた遼河はるひですが、ショーで銀橋を渡る三人口に入っていましたね。でも、お芝居の方で暗くて一癖ありそうな傭兵その5(本当はがストンという役名がありますが)みたいなのをやっているときの方が輝きがあったかも。なんかアンダーなムードがいい感じを出す顔立ちに見えて、ショーでにこやかに笑っているのが妙に似合わなく感じられました…慣れの問題でしょうか…
星組新トップの湖月わたるが観劇に来ていたようでした。ワタルさんとダンちゃんというのも絵面が良さそうで楽しみです。
そうそう、文中のハナちゃんの「ふさ」の字と「大夜総会」の「そう」の漢字が出せていません。申し訳ございませんです。
15世紀、百年戦争下のフランスは分裂し、王家の権威は失墜していた。傭兵部隊「アンジューの一角獣」の指揮官ピエール(和央ようか)は、普段は盗賊まがいの荒れた生活をしていた。ある日ロレーヌの雪原で旅人に略奪を働こうとすると、一行の中に男装した美少女がいた。彼女こそフランス全土で「神の子」と噂されるラ・ヒュセルことジャンヌ・ダルク(花総まり)だった…原作/佐藤賢一、脚本・演出/石田昌也、作曲/西村耕次。
チケットを譲ってくれた知人が一言、「下品」。ははは、確かにね。
私は原作者は直木賞受賞作の『王妃の離婚』とかが特に好きで、原作も昔楽しく読んだ記憶があるのですが…そしてこのお芝居も、やっていることはわりと少女漫画なのですが…45度とか90度とか微妙にずれてて、妙に不愉快だったりお尻のあたりがむずがゆい感じがしました。
荒れた生き方をしていた男が、純粋な少女に目覚めさせられていく、という、ある意味で非常に女性観客に楽しく気持ちいい流れであるはずなんですけれどねえ…
「戦争が終わったら操を捧げるから」
と言われて一度は引いた男が、再会したときには本気になりかけてかえって申し出を拒み、そのうちに彼女の身に災難が…なんて、ド少女漫画でしょう?
ジャンヌの天然ボケぶりとかはいじらしく可愛くもあるのですが、それを周囲が笑う構図が笑えなくしているというか…生娘とか純潔とか操云々といった言葉を、「カクシンハン的」とか言われているらしい男性脚本家が未婚女性であるタカラジェンヌという女優たちの口に言わせているその構図が、厭らしく感じられるというか。同じようなストーリーでもレディスコミックと青年誌の漫画がちがうような違和感、に近いかな?
ワルぶりが今ひとつタカコさんのニンでなかったことも一因かもしれません。
同じ話でも柴田先生だったらもっと女性に見やすくかつ色っぽくセクシーに作ったんじゃないかしらん…というのはひいきの引き倒しでしょうか。
もうひとつの大きな不満が、伊織直加と水夏希の使い方。「いわゆる二番手三番手と言われる男役スターが"主役のオトモダチ"として登場する事くらいつまらない舞台はない」とわかっているなら、パンフレットで言い訳なんかしてないでなんとかしてくださいよ、石井先生。ふたりとも後半にならないとてんでしどころがない役なんだもんなあ、もったいない。でもきちんとキャラクターを作っていたところはこのふたりのすごさだと思います。
卒業の花道に大役を与えられた椿火呂花でしたが、がんばって大きく作っていましたがやはりまだ早く無理があったか…ショーではすごく明るく素敵に笑っていて、こんなに美人だったんだとやっとちゃんと認識できました。将来を嘱望されていたのに退団が残念です。
役者でいちばんよかったのはシャルル7世の愛人アニエスを演じた貴柳みどりだったかなあ。わずか一場面の出番なのですが、台詞と役作りが的確で明晰で、いかにも悪巧みしていそうな悪女ぶり、本当にすばらしくて、お芝居が引き締まりました。
逆にラストのヨランドは役者のせいではないですが台詞が長くてくどくどしい。それと、ピエールはあんなに簡単にこの顛末にうなずいてはいけないと思うのだけれど…この「罰」を受けることは自分のジャンヌへの愛を認識すること、愛を告白することに他ならないんだからさ。カタルシスが今ひとつでこれまたもったいなかったです。
そうそう、鎧の衣装も今イチだった…材質的に仕方がないのでしょうが、防寒服みたいに見えてしまったので。時代がちがうけど『スパルタカス』なんかのお衣装の方がよほど鎧っぽかったのではないかしら…あっ、あと銀橋の使い方の下手さに辟易しました。オープニングから続けて三度ほとんど同じ形で主役に銀橋渡らせるなんて間抜け以外の何者でもないよホント…ああ、なんか結局不満の羅列になっちゃったかしら…
『満天星大夜総会』は1920年代上海のグランドキャバレーの雰囲気を醸し出すレビューデラックス。作・演出/斎藤吉正、作曲/高橋城。
派手で華やかで楽しかったです。
しかし歌が上手い人が全然いないんだなこの組は…歌詞も音も全然聞こえてこなかったです。アップテンポで楽しい曲が多かったようなのですが…明晰な四季のあとだっただけに耳につらかったです。
背が高くて目立つので組替え前から注目していた遼河はるひですが、ショーで銀橋を渡る三人口に入っていましたね。でも、お芝居の方で暗くて一癖ありそうな傭兵その5(本当はがストンという役名がありますが)みたいなのをやっているときの方が輝きがあったかも。なんかアンダーなムードがいい感じを出す顔立ちに見えて、ショーでにこやかに笑っているのが妙に似合わなく感じられました…慣れの問題でしょうか…
星組新トップの湖月わたるが観劇に来ていたようでした。ワタルさんとダンちゃんというのも絵面が良さそうで楽しみです。
そうそう、文中のハナちゃんの「ふさ」の字と「大夜総会」の「そう」の漢字が出せていません。申し訳ございませんです。
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