駒子の備忘録

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ミュージカル『マンマ・ミーア!』

2009年12月08日 | 観劇記/タイトルま行
 四季劇場・海、2003年4月15日ソワレ。
 ギリシャ、エーゲ海の小島で小さなホテルを女手ひとつで切り盛りするドナ(この日は保坂知寿)のひとり娘・ソフィ(樋口麻美)は、結婚式を控えていた。自分の父親を知らない彼女は、母親の日記を盗み見して、自分の父親である可能性がある三人の男たち、サム(芝清道)、ビル(野中万寿夫)、ハリー(八巻大)に招待状を出してしまう。式の前日、ドナの古い友人たち、ターニャ(前田美波里)とロージー(青山弥生)が島を訪れる。そして三人の男たちも…登場する全22曲が70年代に活躍したスウェーデンの4人組「ABBA」の楽曲であるというミュージカル。ディレクター/ジュディ・クレーマー、作詞・作曲/ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース、台本/キャサリン・ジョーンズ、振付/アンソニー・ヴァン・ラースト、演出/フィリダ・ロイド、日本語歌詞/浅利慶太、日本語台本/湯川裕光。98年ロンドン初演。
 いやー、楽しかったです! 予習していかなくて本当によかった!!
 というのは、実家をひっくり返せば、何枚かシングルレコードが出てくるはずなんですよ、ABBAの。私は彼らが二組の夫婦であったことを今回パンフを読んで初めて知ったくらい当時子供だった訳で、レコードは父が買ってきたものだと思うのですが、それでも彼らの曲が好きでした。
 覚えているのは、小学校高学年くらいのときに遊び半分の英語塾みたいなものに通っていたのですが、「チキチータ」が歌いたいくてでもまだ歌詞が全然読めないので、塾の先生にカタカナでルビを振ってもらったこと。そのメモはまだレコードジャケットの中に挟まれているはずです。
 でも、あえて聞き直したりしないで行きました。だから出る曲出る曲、前奏がかかるたびに記憶がわーっと戻ってきて、もう懐かしくて懐かしくて、それだけで背中がぞくぞくっとしました。
 これはミュージカルの鑑賞法としては正しくないのかもしれないな…ストーリーは、たわいないといえば言えるものでしたし。でもおもしろかったし、私は好きです。もちろん知らない曲もいくつかあって、そういう方が日本語の歌としては聞き易かったりもしましたが、しかし今回の訳詞はかなり良かったと思うし、よくもまあこうもうまく物語にはまったよなあと感動します。
 TVCMで流れているスタンディングオベーションを嘘くさ、と思っていましたが、立ったよ! みんなが立つんで舞台が見えなくなったから、というのもありますけどね。でも私にとって決め手は「I Have A Dream」でした。好きな曲のひとつだったのだけれど、冒頭でほんのちょっとしか歌ってもらえなくて不満だったのが、あんなベタなラストシーンでもう一度きちんと歌われると、もう泣けてしまって泣けてしまって。そのままフィナーレに突入ですもん、泣いて立って歌って踊りましたと!!!
 劇場は1Fロビーが狭くて貧相に思えたのが不満だったし、「海」というからにはシートは青でもよかったのではと思いましたが、コンパクトで見易い客席でいい感じでした。この立地にこの名前でこのミュージカルをこけら落としに持ってこれたということが美しいです。お衣装も白と青、装置も木や石と南の海のナチュラルなイメージ。お芝居は相変わらずの四季芝居なんだけれど、特に保坂知寿の口跡がすばらしく、早口で長い台詞を聞き易くなめらかにリズミカルに噛みもせずしゃべりまくるのは圧巻でした。
 あと、前田美波里な! なんなんだなんなんだあのパワーはあのスタイルはあの身長はあのピンヒールは! どんなおばさんなんやねん、すごすぎる!! あの水着!!! ロージーと三人の大中小コンビ、最高!
 70年代とか80年代をモチーフにした作品は、ともすると「あの頃は良かった」とかになりがちで、今現在ミドルエイジ・クライシスを迎えている世代に「でもまあまたがんばろうよ」みたいなエールを送るものになったりして、個人的にはすっごく辟易させられることが多いのですが、この作品はそういうことではなくて、ドナの世代でもソフィの世代でも他のどんな世代もいいというか、世代や年齢で人を区切るという発想のない、また辛気臭い哲学や思想があえてない物語で、単純にハッピーで楽しいものになっていて、そういうところも好感を持ちました。
 それからドナ&ザ・ダイナモス始め三人の父親候補、ソフィとその親友ふたり、スカイ(田邊真也)とその悪友ふたり、と三人組のセットになっていて、これは物語ではこれくらいがあしらい易いからで現実には三人組のグループはもう少し少なかったりするのだけれど、私にはこの形がけっこう身近で、それも楽しかったです。
 あとは、あのお衣装だな! 40歳になってもああいうものを着られる、そういうおばさんに私はなりたい。まずはダイエットね…
 最後にひとつ、これはネタバレギリギリか? あのメガネはいい。でもどーしていい男ってみんなゲイなのかしらねえ?
 5月にもう一度行きます。そっちの方がいい席なので、また楽しみです。ベストCD買って行こうかな。

 ●追記●5月20日ソワレを再度観ました。なんと最前列でしたよ(席番号は数字上は4列目だったのに…)。さすがに舞台をちょっと見上げ気味になってしまい、首が疲れましたが…
 この日はソフィが吉沢梨絵、ターニャが羽永共子でした。
 やっぱりターニャは前田美波里がよかったなあああ。羽永共子も背が高くてスタイルがいいのだけれど、顔立ちがちょっとオバサンくさいというか、下町の江戸っ子で気風のいい姐さん、みたいな感じなんですよねー。前田美波里のあのゴージャスな(整形?)美人ぶりが、金持ちばっかと再婚・離婚を繰り返して慰謝料もぎ取って贅沢三昧というヨーロッパのマダムにぴったりだったと思うのです。むむむむ…
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