駒子の備忘録

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『ロジャース/ハート』

2023年10月05日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 有楽町よみうりホール、2023年10月4日18時。

 1918年、16歳の生真面目なリチャード・ロジャース(寺西拓人)は、23歳の奔放なロレンツ・ハート(林翔太)と出会う。一見、不似合いそうなふたりだったが、お互いの才能を欲するように意気投合し、作詞家&作曲家コンビとして歩み始め…
 上演台本・訳詞・演出・振付/玉野和紀、音楽監督/宮﨑誠。ロジャースとハートの楽曲をまとめたブロードウェイのレヴューショー『Beguiled Again』に、ロジャースとハートの出会いからハートが亡くなるまでのフィクションとノンフィクションを交えた上演台本を加えて、2018年に日本初演。さらに2幕ものにした再演版。

 ブロードウェイ版は男女各3人が何役にも扮して55曲を歌い踊るレヴューだったそうですが、それにストーリーと台詞を足して、男性4人、女性ふたりで32曲を一幕で歌い踊った日本初演から、今回の男性7人、女性5人で二幕39曲という構成に仕立て直しているそうです。さらに初演ではロジャースとハートの配役が逆だったのだとか、すごいなあ。
 聞いたことがある曲もたくさんある、知らない曲でも聞いていて心地良いという、なんといっても楽曲が強いジュークボックス・ミュージカルで、役者はみんな歌が上手く、踊れてタップも踏めて、てらいのない演出や振付は素朴ながらもオシャレでスマートで、ゆったり楽しめました。この時代特有のお衣装(衣裳/十川ヒロコ)もゴージャスで美しく、女優陣は全員宝塚OGなのでとんでもスタイルで美しくキュートで眼福。男優陣も藤岡正明、中河内雅貴と濃い、濃いのよ…! でやはり歌えて踊れて芝居ができて笑いが取れるわけで、軽めのストーリーラインでも芸で十分保たせられる、という作品に仕上がっていたと思いました。
 ハコがちょっとレトロで趣がある感じなのもハマっていましたよね。私は普段はお話、ドラマを求めるタイプですが、それでも退屈することなく楽しく観ました。
 えりたんの方がテルより上級生なはずだけど、役としてはテルの方が重く、でも歳上だからとラリーをフる感じが持ち味としてちょうどよかったと思いました。えりたんはディックの恋人ドロシーもかわいいし、ラジオ番組スタッフのヘレンが絶品だし、ハリウッドの大物女優ミッシェルはちょっと『雨唄』リナみもあるこれまた爪痕残しまくりの大活躍で、さすがでした。
 そしてアンサンブルとしてこれまた何役もやって、そのどれもが可愛く、なんとセンター場面もあってソロまであってかつそれがちゃんとしていた俺たちのはるこよ…! 歌が現役時代より進歩していてホント偉いぞ、すごいぞ! そしてそして私は退団後に初めて観た音くりちゃんが、上手いのは知ってた、わかってた、でもやっぱり上手くて可愛くて嬉しい!し、3人目は104期で『トプハ』でやめたという男役さんで、ずいぶん早くやめたことになるけれどその後本名でこうして芸能活動を続けているんだから宝塚ではできないことを外でしたいと早くに決断したということだろうし、これまたすらりとスタイル抜群で素晴らしかったです。OGって基本的な舞台スキルがしっかりあって、綺麗で歌えて踊れてタップも踏めて日舞もできるし、重宝されるんだろうな…と、感心するやら誇らしいやら、でした。
 主役ふたりは、林くんは私は『キオスク』ぶり? 寺西くんも『バイ・バイ・バーディー』など何度か観ていて、どちらもジャニーズですがしっかり上手くて、舞台中心にバリバリ活躍してきた人たちなので、この先事務所と切れても仕事はあると思うぞ、がんばってね…!と念を送りました。配役は今回の方がイメージなような、逆でもハマるような…役者さんって不思議なものですね。
 ステージ上のピアノでガンガン演奏する音監さんもよかったし、音楽、演奏が本当に豊かで素敵だったのも印象的でした。
 宝塚でもバウホールのショーとしてやるにはちょうどいい感じだけどな…こういう作品を探してきてブラッシュアツプして上手く仕立てる、という作業はもっとあってもいいんじゃないかしらん、など思いました。










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