駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

歌野晶午『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』(光文社文庫)

2010年10月26日 | 乱読記/書名ま行
 浜倉中央署の刑事・舞田才歳三には、ゲームとダンスが好きな11歳の姪、ひとみがいた。行き詰まった事件の謎を、彼女の何気ない言葉が解決へと導く、傑作推理連作集。

 第10回本格ミステリ大賞受賞!の帯がかかっていましたが…
 別に賞がすべてではないですが…
 というか、賞って、賞が受賞作に名誉を与えるんじゃなくて、受賞作が賞に名誉を与えるんですよね。
 こんな素晴らしい作品が受賞するんだから、それだけのすごい賞なんだ、というか。
 こんな素晴らしい作品に目を着けるなんて、さすがちゃんとした賞だ、というか。
 それから言うと…この受賞作でいいの?と私は思いました。

 これって本格推理かなあ?
 まあアイディア先行でキャラクター軽視、という部分は本格推理の悪い部分に通じるかもしれない。
 でも悪い部分にだけ通じてどうするよ…
 帯には「11歳小学生の姪と34歳刑事の叔父の名コンビ誕生!!」とうたわれていますが、せっかくのこの関係性がいかされていないし。
 ひとみの出生の秘密にはせっかくのドラマがあるのに、中途半端に放り出されたままだし。
 主人公、兄、兄嫁、姉とキャラクターはまあまあ揃っているのに、人間関係に変化がないままでもったいないし。

 連作短編集って、一話完結でも少しずつ動いていたり変化したりしている部分があって、そこを楽しんでいって、ラストにはやっぱりシメとかオチがあるべきだと思うんですけど…?

 別に実際にひとみが探偵家業をすることを期待していたわけではありませんが、それにしても、せっかくの設定とタイトルが泣く作品で、それが何かの賞の受賞作となると、その賞、大丈夫?とか思えてしまって…

 そんなことを考えさせられてしまった作品だったのでした。残念。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『エリザベート』 | トップ | 宝塚歌劇花組『麗しのサブリ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

乱読記/書名ま行」カテゴリの最新記事