駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

平野啓一郎『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)

2018年10月20日 | 乱読記/書名ま行
 天才クラシックギタリスト・薪野と、国際ジャーナリスト・洋子。出会ったのは三度だけ。だが誰よりも深く愛した人だった…

 大空さんとの対談があったときか、ネットで公開されたときにさわりだけちょっと読んで、そのままにしていましたが、映画化が決まったためか書店に平摘みされていたので読んでみました。パリ旅行に行く前に前半は読んでいたので、なかなか楽しかったです。わざとだろうとは思うんだけれど、翻訳調みたいな文体と、トレンディドラマでもやらないようなベタなすれ違いとものすごいグローバル感が非日常ゴージャスさをあおり、真剣に読みつつおもしろがってしまうような、不思議な読書になりました。
 しかしこれまたある種の妊娠小説なんですよね…結局のところそれくらい子供の存在は大きいということなのでしょうが、なのでやはり結果的に持たないままで終わりそうなこの人生でよかった、いつでもどこへでも行けるなんでもできる…と思えたのでした。産んでいたら、責任がありますから、そんなふうには生きられないのでしょうからね。
 お話は絶妙なところで終わっていますが、そこからも続くのが人生です。彼らがひとりの人間としてまた家族持ちとして、幸せに人生をまっとうできますよう祈りますが、まあ所詮はフィクションの人間だからな…と思ってしまったりもします。なんなんでしょうねこのアンビバレンツは…?


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