駒子の備忘録

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日坂水柯『すきなひと』(白泉社)全2巻

2014年08月09日 | 乱読記/書名さ行
 鏡子に会うのは彼女が離婚してからは初めてで、かなり久しぶりだった。彼女とは大学の同級生でサークル仲間、卒業してからも割に連絡は取り合っていた。ただ彼女は就職して半年で結婚してしまったので、それからはさすがに連絡も頻繁にとはいかなくなっていたのだが…
 彼と彼女と彼女の妹が織り成す奇妙で微妙な恋愛模様。

 コミックスに特にレーベル名がないようですが、掲載誌は「楽園」です。
 この漫画家のコミックスはいくつか持っていますが、題材は常に同じで、ズバリ「メガネの巨乳のユリ」。
 男性キャラクターも出てくるけれど性差の描き分けはあまりない方だし、女性キャラクターにいたってはカップルの双方が黒髪ロングだったりすると見分けがつきづらいことも多いです。名前をあまり名乗らないで進むストーリー展開が多いし(ジャンル的にイメージやエピソードだけのショートが多いせいもある)、キャラクターがそもそも立てられていないことも多い。
 巨乳好きなのもわかるけれどデッサン的にはけっこう怪しいのも気になります。
 と、文句をつけつつ読んでしまうのはやはりこのジャンルの作品が絶対数としてまだまだ少なく、好みのものを求めて私がさすらっているからでもあります…

 このお話はメインのカップルは男女。夫の浮気が原因で離婚して、「ケッコンとかレンアイは/当分出来そうにないみたい」というヒロイン・鏡子が、大学の同級生で「友達」の城田とならセックスを「したいって思う」ので、まあぶっちゃけセフレになって、ふたりでベッドにいるところを妹の亜純に見られちゃったりしつつ、城田はもともと鏡子のことを昔からずっと好きだったので、「友達の『すき』を辿って行き着いた」「恋愛の『すき』は」「最強だ」となってデキ婚で終わるお話です。
 姉は妹を好きで妹は姉を好きすぎたり、一方で妹は同性の同級生を好きだったり、というエピソードもあります。
 この妹カップルの方がきちんとしたゴール(?)に至らず、両想いではあるだろうことが描かれるだけで終わってしまうのが画竜点睛感があったかな。こっちはこっちでちゃんとくっつくところまで描けばよかったのに。
 なんにせよ、色っぽくはあるのだが深くはないのが残念、かな…
 同時収録の別シリーズもちょっと帯襷なのであった…ああ、私の理想のユリはどこにあるのかしらん?(聞かれても)


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