映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

天国でまた会おう(2017年)

2019-03-18 | 【て】



以下、上記リンクよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 1918年第一次世界大戦中の西部戦線。休戦目前にも関わらず、上官であるブラデル中尉から不条理な攻撃命令が下り、アルベールは生き埋めに。そんな彼を御曹司のエドゥアールが救うが、その際に顔に重傷を負ってしまい、ショックを受ける。

 二人がパリに戻ったところ、世間は戦没者を称える一方で帰還兵には冷たかった。アルベールは仕事も恋人も失い、エドゥアールは生還したことを家族にひた隠しに。そこに声を失ったエドゥアールの思いを通訳する少女を加え、彼らは人生を巻き返すため、国を相手に大胆な詐欺計画を立てる。
 
=====ここまで。
 

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 チラシのデザインに何となく惹かれて劇場へ、、、。原作者が「その女アレックス」の著者だったと知ってビックリ。ゼンゼン雰囲気が違う作品のような(ちなみに本作の原作は未読)。


◆日本じゃ不発??

 フランスで大ヒットとかいう鳴り物入り(?)の割に、上映劇場は都内でシャンテだけだし、今月1日に公開したのに早々に終映だし、何で??と思いながら劇場へ。サービスデーだってのに、半分くらい空いていた。ううむ、、、。

 ……と思って見たんだけど、見終わってみて、何となくその理由が分かった気がする。まあ、一言で言えば、あんまり一般ウケしない作品だから、、、じゃないかと。私は結構気に入ったけど、全体的にちょっと散漫な感じはするし、世界観がダメな人にはダメかな、と思う。

 散漫な感じをさせる最大の要因は、上記あらすじにある「国を相手に大胆な詐欺計画」という部分がイマイチ説得力がないところ。分かりにくいんだよね、詐欺の内容が。“追悼記念碑”のカタログだけ作って、実際の記念碑は作らずに金だけもらってズラかる、、、って、正直言ってピンとこない。この詐欺の内容は、ある意味、このストーリーのキモなわけだから、もう少しキレが欲しい。フランス人には、これがブラックユーモアとして効いているのかしらん? その辺が不思議。

 さらに言えば、エドゥアールは、自分の顔が衝撃的な変形をしたことによって、戦争を憎み、戦争をした国を憎み、こういう詐欺を企てたわけだが、その詐欺を働くまでの描写がいささか弱い。なので、人によっては唐突感を抱くと思う。この辺りがもう少し丁寧に描かれていると、説得力があったのに、もったいない気がする。

 この辺は映画の前半。ただ、前半も、特に序盤は、塹壕戦の生々しいシーンは迫力満点で、非常に怖ろしい。その後、エドゥアールがパリに戻って詐欺を働くまでが前述の通りイマイチだけど、中盤以降は結構展開も早く、面白いと思う。エドゥアールとアルベール共通の敵であるプラデルとのエピソードや、エドゥアールと父親との確執とその顛末、アルベールとポリーヌの恋の行方など、見どころは多い。

 ただまぁ、やっぱりストーリー的にはちょっと弱いよね。

 重要なキーマンであるプラデルってのがどうしようもない男なんだけど、戦場でのプラデルとアルベールのかなり重要なエピソードが伏線になっているはずなのに、話が進んでも一向に回収される気配がなく、??となって終わりそうになったところへ、最後の最後に、一応オチらしいものが用意されているんだが、これも人によってはオチとは思えないものかも。というか、かなりのご都合主義に感じるかも。まぁ、私には許容範囲だったけど。

 あと、エドゥアールと父親の確執が序盤にサラリと映像で紙芝居みたいに見せられるだけなので、どれほど深刻な確執なのかが分かりにくい。だから、ラストの感動的かつ衝撃的なシーンが、人によってはうまく消化できないかも。これもまぁ、私には許容範囲だったけど。

 ……てな具合に、ううむ、、、という部分が挙げれば一杯あるので、こういうところが気になる人にとっては、???、、、ってことになるんだろうな、と思う。


◆世界観が命。

 多分、この映画を気に入るか否かは、その世界観を好きか好きじゃないか、というところに懸かっていると思う。

 私はこういう凝りに凝った美術やセット、衣裳、美しい映像、芝居がかった演技、、、etcは結構好きなので、ストーリーが弱くても脳内でフォローしちゃえるんだけど。ある意味、この映画は、そういう世界観の部分では非常に上手く出来ていて、それらの要素がぴったり噛み合って、実に素晴らしい。単純なファンタジーはダメだけど、こういうブラックファンタジーは好きなんです、私。ブラックファンタジーは、その世界観が全てといってもいいくらい大事。

 原作を読んでいないので原作の雰囲気は分からないが、「その女アレックス」から考えて、原作がファンタジーだとはちょっと想像しにくいんだが、いずれにしても、この世界観を映像で実現させたのは素晴らしいと思う。フランスのセザール賞5部門受賞!と宣伝しているけど、5部門のうち3賞=撮影賞、衣裳デザイン賞、美術賞はやはり本作の世界観に寄与したものとして納得。ちなみに、他の2部門は、脚色賞と監督賞。脚色賞、ってのは、ストーリーをこき下ろしてきた私としてはちょっと意外だけど。恐らく、長編の原作を手際よく映像化したということに対する評価では?

 まぁ、いずれにせよ、本作は、じっくり深く味わうにはいささか物足りない部分もあるものの、ある意味、映画らしい映画だと言えると思う。結局、こういう作品はTVドラマなんかじゃ作れないし、劇場の大きなスクリーンで見てこそのものだと思う。その世界観を体感する、ということ。劇場で、その映画の持つ雰囲気と魅力に浸れる、これも映画の一つの楽しみ方だと思う。

 だから、私は結構好きよ、この映画。DVDが出たら、もう一回見ても良いくらい。TVで見るとショボいかも知れないけど、、、。


 







大人のためのブラックファンタジー映画




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