映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

イニシエーション・ラブ(2015年)

2022-06-23 | 【い】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv57021/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 1980年代後半の静岡。就職活動中の大学生の鈴木は友人に誘われて行った合コンで歯科助手のマユと出会い、恋に落ちる。

 時は過ぎ、就職した鈴木は東京の本社へ転勤することになり、マユを静岡に残して上京する。マユに会うために週末ごとに東京と静岡を行き来する鈴木だったが、会社の同僚の美弥子との出会いで心が揺れ動く。

=====ここまで。

 乾くるみの同名小説の映画化。

 
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 某全国紙で、書評家・斎藤美奈子氏が連載している「旅する文学」の静岡編で、原作本が紹介されており、そこで「ありがちな恋愛の顛末。/と見せかけて、この小説、じつは最後の2行で大逆転劇が起こるのだ。巧妙なしかけで読者を驚愕させた、平成のベストセラーである」などと書いてあって、著者名も小説のタイトルも初耳だったので、どらどら、、、と思い、図書館で借りて読んでみました。

 読んだのは上記記事を読んでしばらく経っていたので、「最後の2行で大逆転劇」ってのはすっかり忘れていて、何で借りたのか記憶もあやふやなまま読み始め、、、“ナニコレ、、、陳腐すぎじゃない?? これがベストセラーだったのか?”などとかったるく読んでいたのだけれど、中盤以降、所々でちょいちょい引っ掛かる文章もありながら、何となく読み進めて“なーんだ、ホントにただの青春小説やん”と最終頁まで来たのでした。

 そうして、ラストまで読み終わって、????は? となり、前に戻ってあちこち読み直す……というハメになりました。本当に「最後の2行で大逆転劇」だったのです。ちょいちょい引っ掛かった理由が理解できました。

 けれども、そのオチは“文章だから”できたことであり、それを映像化したというので、一体どうやって、、、?という興味だけでDVDを借りて見てみることに。

 で、本作の感想をあれこれ書こうと思うと、どうしたって原作の肝である“オチ”を書かざるを得ないのだけれど、ここでそれを書いてしまうのは、やはりちょっとルール違反な気がします、、、。ので、原作既読の方には分かるように、ネタバレしない程度に感想を書くことにします。


◆なかなか巧妙なシナリオ

 映像化するのに一番ネックだと思っていた部分を、どうやってクリアしたのだろう、、、と思って見ていたら、なるほど~、と感心。キーワードは“ダイエット”。これで、中盤から松田翔太が登場しても、原作を知らない人は違和感なく見られるのだなぁ、と。まあ、フツーに考えたらかなり無理があるのだが、、、。

 全般に、比較的原作に忠実にシナリオは書かれており、上記のネックが上手くクリアされていたので、原作を知らない人は、原作を読んだ者が味わった驚きを映画でも味わえたに違いない。途中で察しがつく人は、かなり察しの良い人だろう。それくらい、映像化は巧妙になされていると感じた次第。

 が。

 せっかく巧みに展開してきたのに、肝心のオチで観客を、え~~~っ!!と言わせてエンドマークにすれば良いものを、本作は、ご丁寧にその後、解説映像を流すのである。これは、興ざめ、蛇足の極みだと思うなぁ。

 原作は、最後の2行でバッサリ終わっており、え、、、どういうこと?どういうこと???となるのが良いのであって、それは映画にしても同じでしょう。どういうこと?と見た者に考えさせるように終える方が良かったと思うわ。そうすれば2回見る人も少なからずいたはずで、興行的にも儲かったかもしれないのに。商売下手やね。

 そのオチにもっていく展開は、原作とはかなり違っていて、やはり映像化に多少ムリがあったかな、と感じさせてしまっているのは残念(原作未読の人にはゼンゼン問題ないと思うが)。鈴木が、美弥子を振り切ってまで、マユのところに戻って来る、、、ってのは、松田演ずる鈴木のキャラから言って、ちょっと違和感あるよねぇ。原作では、美弥子と結婚しちゃう感じだったような(もう忘れかけているという、、、情けなや)。

 いやまあ、でも、あの原作を、よくぞここまで映像化したものだと、それは掛け値なしに感心致しました。


◆その他もろもろ

 正直なところ、原作のマユと前田敦子は、私の中では、あまりにもイメージが違い過ぎて、原作のオチが云々よりも、そっちの方が気になった。ただ、原作未読であれば、これも何ら問題はないことではある。

 原作のマユは、そもそもショートカットで色白の、前田さんとは見た目的にもゼンゼン違う。キャラも、前田さんはかなり天然に演じてはいたが、マユは天然そうでシタタカなので、前田さんのマユには、そのシタタカさがちょっと感じられなかった。もっと言っちゃうと、前田マユは、ただの緩い子に見えてしまうというか。

 その違いが、ラストのマユのリアクションに違和感を覚える結果となったと思う。まあ、松田演ずる鈴木のキャラ自体がちょっとズレてしまっているので、前田マユがああでも仕方がないというか、映画は映画だからね、、、という感じではあるのだが(原作も映画も知らない方には何のことやら、だと思いますがスミマセン)。

 まあ、原作とどう違う、、、と書き立ててもあまり意味がないので、これくらいでやめておきますが、原作既読の方でも、それなりに(オチを知っているからこそ)楽しめる作りにはなっていると思うので、気が向いたら見ても良いかも。

 ちなみに、原作小説は、本当に“オチ”だけがウリだと思うが、読者を騙しきって最後の2行まで読ませるその筆力と手管は素晴らしいと思います。著者の他の作品を読んでいないので、こんな感想でスミマセン。

 

 

 

 

 

 

 

 

静岡ローカル色強し。

 

 

 

 

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