映画 ご(誤)鑑賞日記

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コレクティブ 国家の嘘(2019年)

2021-10-19 | 【こ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv74365/

 
 以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。

 カメラは事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を追い始めるが、彼は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。

 真実に近づくたび、増していく命の危険。それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。

 一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが……。

=====ここまで。
 

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 緊急事態宣言とやらが解除され、映画館も通常営業に戻りつつあるみたいですね。しかし、劇場へ足が向かなくなって久しくなり、いくら感染状況が落ち着いているとはいえ、何だかもう、、、気分的にどよよ~んですよ、マジで。映画見に行こう、っていう気に、なかなかならない。家でDVD見る方が良いわ、とか思っちゃう。

 ……けれども、先日、思いがけず用事が早く終わって、ぽっかり平日の午前中から時間が出来てしまいまして。あら、じゃあ、映画見に行こうかな、、、と脳が自然に思考しておりました。で、本作を見に行ったわけです。ほかにも見たいのはあったんだけど、どれも絶対DVD化されるだろうと思われるし、これも多分されると思うけど、もしかするとされないかもな、、、という一抹の不安もあり、見ておこうと思った次第。


◆大臣室に入るカメラ。

 本作はルーマニアの映画だが、ルーマニアといえば、私の脳裏にはあのチャウシェスク処刑の映像がこびりついており、また、映画では『4ヶ月、3週と2日』(2007)という怖ろしい作品が真っ先に思い浮かぶ。あのトランシルバニアもルーマニアだしね、、、。だから、とにかく、ルーマニアというと、どうしても暗いイメージなんである。

 余談だけど、何年か前に、岩合さんのネコ歩きのロケ地がルーマニアで、しかもあのブラン城の前でのロケもあって、そこのネコがたしか白に茶のブチだったんだけど、適度に毛がボサボサで、さすがドラキュラのネコ、、、なーんて勝手に思ったんだけど、でも、景色はとても美しく、ゼンゼン暗くなんかなかったのでした。

 それはさておき。

 コトの発端となったライブハウスの火事だが、この実際の映像が本作の序盤で出て来る。今も、You Tube とかで見られるらしい(確認はしていません、念のため)。いや、それが、、、めちゃくちゃ怖ろしい映像で、火の回りが異様に速いんである。もう、ホントにアッと言う間。どうやら、法令違反の建材が使われていたとか何とか、、、(ネット情報なので真偽不明)。でも多分そうでしょう、あの火の回りの速さは、燃えやすい建材でなければあり得ない。まるで藁ぶきの天井が燃えているかのようだった。

 入口が1つしかなかったので、大惨事になったわけだが、さらなる悲劇が火災後に起きる。重傷者は外国の熱傷専門病院に送られ、多くは助かる。ブカレストの熱傷専門病院に運ばれた軽傷者が、バタバタと亡くなって行くのだった。

 本作は、それについてスポーツ紙の記者たちが取材を始めて日が浅い頃から、取材班にカメラが入って撮られたドキュメンタリーで、よくこんなの撮らせてくれたな、、、という映像ばかりで構成されている。

 パンフの監督インタビューによれば、やはりスポーツ紙には最初は数回断られているらしい。中盤以降、新任の保健相の執務室にもカメラが入るが、保健相は割とすんなり許可してくれたみたい。監督は、この新任保健相は「政界の人間ではなかったことが大きい」と言っているが、それにしても官僚たちとの実に生々しい会議の様子とかも撮影されており、驚きの連続だった。

 ちなみに、ナレーションは全くないし、記者や保健相へのインタビューも一切ない。ただただ起きていることを細大漏らさず撮影しよう、、、という意識だけが伝わってくる。


◆権力は腐敗する、、、のではない。腐敗させているのです、民草が。

 なぜ、軽傷者たちは入院してから続々と亡くなって行ったのか、、、。原因は、緑膿菌の院内感染。なぜ、熱傷専門病院でそんな初歩的な医療過誤が起きるのか? ……消毒液を基準以上に希釈していたから。、、、という、実にアナログな話なんだけれども、それを更にたどって行くと、芋づる式に出て来る出て来る、利権の闇。

 もうね、とにかく全てが腐っているので、どこをどうすれば改善するとか、そういうレベルの話ではなくなっているのだ。消毒液を多めに薄めちゃった、、、という素人みたいな話が、どーしてそうなるの??と。いや、利権の絡みとは、そういうものだということは、日本人の私たちだってここ何年も目の当たりにしているのだけどね。

 おまけに、疑惑の中心人物は途中で事故死しちゃうし。蓋を開けてみれば、もっと恐ろしいラスボスが隠れているんだろうけど、どこまで暴けば良いのかさえ分からなくなってくる。

 当時の保健相は辞任に追い込まれて、カメラ撮影を受け入れてくれた新任保健相に交代するものの、まあ、一気にいろいろは進まず、そうこうしているうちに、選挙になる。

 いずこも同じで、選挙で溜飲を下げることにはならず、ものすごく救いのない終わり方をする。けれど、私はまだルーマニアの方がマシだと思った。だって、こんな映画ができる余地があるんだもの。アメリカでもあんな気の狂った大統領が現れても、ちゃんと批判メディアは生きていたし、映画も撮られていた。日本の医療現場では消毒液の希釈はやっていないだろうが、コロナでは医療にかかることすら許されずに放置されて亡くなった方が大勢いる。しかも、メディアも映画も死んでいる。

 ルーマニアの投票率も低いと、本作内で紹介されていた。やっぱり、有権者が選挙に行かない国はおかしくなるのだ。折しも、本日は衆議院議員選挙の公示日だったが、一体、どれだけの有権者が投票に行くのだろうか。投票率が50%とか、もう信じられん。教育しろ、有権者教育を!

 ……というようなことを、本作を見て数日経った今、強く感じているところです。

 
 

 

 

 

 

 


投票に行かないというのは納税者として責任放棄しているのと同じだと思います。 

 

 

 

 

 

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