映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

東海道四谷怪談(1959年)

2016-02-25 | 【と】



 ご存じ、お岩さんが、ろくでなし伊右衛門に毒殺され、成仏できずに幽霊となって伊右衛門を呪い殺すという、あのお話。タイトル通り、歌舞伎を意識した作りの様です(歌舞伎の同演目を鑑賞したことはありません)。

 伊右衛門を演じた天知茂の出世作。

  
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 映画版、四谷怪談と言えばコレ! と言われている本作を見てみました。

 怖がりのくせに怖いの大好きな私、、、。ですが、本作は、ほとんど怖くはなかったです。お岩さんが毒殺されるシーンで、形相が醜く変わり、髪がごっそり抜け落ち、苦しみもがきながら亡くなるところは、怖いというより、とにかくお岩さんが可哀想です、、、。

 話の筋は、誰もが知っている超有名怪談ですから、やはり映画化となれば、見せ方ですよね。本作は59年という制作年で、カラーですが、その色彩がとても美しいです。お岩さんや、お袖、お梅が着ている和服の鮮やかなこと。そして、血の赤い色と、周囲の対比。これだけでも見る価値ありでした。有名な、直助を斬殺するシーンは、確かに幻想的。

 お岩さんが亡くなった後、いわゆる戸板返しを始めとした復讐シーンは、かなり劇画チックで、仕掛けもあちこちに施され、おぉ! という驚きの連続。怖がっている暇はありません。

 やはり、というか、意外にもか分からないですが、全体に様式美を感じます。怪談というより、幽霊譚、と言った方が良いかもです。カリカチュアなんで、全体が幻想的とは言えませんが、ラストシーンでお岩さんが菩薩(観音?)となって昇天する映像も、なかなか神々しくて美しいですし、怪談という言葉からイメージされるおどろおどろしさよりは、幽霊譚という幻想的な感じのする言葉の方がしっくりくるかな、と。

 しかし、本作の特筆事項は、何と言っても天知茂に尽きるでしょう。とにかく、若い! そして、色気がありますね~。こりゃ、女泣かせです。後の、明智小五郎を演じていた頃の彼しか知らなかった私にとっては、かなり衝撃的でした。顔が、明智小五郎よりも大分骨ばっている感じで、細いです。まだトレードマークの“眉間の皺”もないし、メイクのせいもあるでしょうが、陰影が濃い。ちょっと、「独眼竜政宗」の渡辺謙に似ているかも。

 まあとにかく、出世作となったのも納得です。すごい存在感です。主役だから当たり前っちゃ当たり前なんですが、、、。決して、正統派美男子という訳じゃない、ちょっと悪人顔なんですが、本作ではそれが見事にハマったのでしょう。明智小五郎も、本当は、善人なのか悪人なのかちょっと分からない所がありますから、そういう謎めいた役なんかは、ピッタリですよねぇ、、、。三島由紀夫が見初めたのも分かる気がする。

 お岩さんを演じた若杉嘉津子さんの演技がまた、凄い。なよなよと弱々しく、それでいてちょっと、イラッとさせる女を、実に巧みに演じておられまして、これは伊右衛門でなくても、男なら逃げ出したくなるかも、、、と見ている者に思わせる。幽霊になっちゃった後はまあ、、、アレですけれども。

 、、、とかなんとか、結構、この文章、緊張しながら書いております。だって、ヘタなこと書いたら、お岩さんに祟られるんじゃないか、、、とか考えちゃって。基本、迷信とかあんまし気にしない方ですが、このお岩さんネタに関して、いい歳こいたオバハンになっても気になっちゃうんです。何でかしら、、、。




天知茂に尽きる。




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