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「江戸繁昌記 ニ篇」 25 葬礼2

(散歩道の白花ヒガンバナ)

家の壁面塗装、昨日で終る。白壁が新築のようにきれいになった。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

(いずくん)ぞ知らん、今日の静軒居士、後来、何れの邦にして、太平豊富の皇帝とならざることを。然も、馬骨と、これ封侯とは、有り。、豈に因(よ)ることならずや。嗚呼(ああ)普天下の悪書生、強(つと)めて善を為さんのみ。(なんじ)に出ずるものは、爾に反(かえ)。道(い)うこと勿(なか)れ、魂魄天地に帰るのみと。積善の家には余慶有りと、聖人言う。
※ 後来(こうらい)- こののち。行く末。将来。
※ 弁(べん)- 是非・善悪を区別する。わきまえる。
※ 普天下(ふてんか)- 天下至るところ。
※ 書生(しょせい)- 明治以後は、「他人の家に下宿して家事や雑務を手伝いつつ、勉強や下積みを行う若者」のことを指す。江戸時代までは、「勉学を本分とする者。勉学をする余裕のある者」という意味合いだった。
※ 爾(なんじ)に出ずるものは、爾に反(かえ)る - 自分のしたことの報いは、必ず自分が受ける。
※ 魂魄(こんぱく)- 死者のたましい。霊魂。
※ 積善(せきぜん)- 善行を多くつみ重ねること。また、そのつみ重ねた善行。
※ 余慶(よけい)- 祖先の善行のおかげで、子孫が受ける幸福。


東隣、親を喪い、西舎、子を挙ぐ。呱々(オギャア/\)、哭々、南北互いに和す。小塚原の火人場(ヤキバ)、常に烟を絶たず。回向院の投葬(ナゲコミ)、骸骨、薪を積む。八方の郭門(ミツケ)、日に幾百葬を出して、然りて、今の繁昌、戸数歳々増す。則ち、生息の、死に倍することを知るべし。穩婆(トリアゲバヽ)の繁昌、従(よ)って知るべきなり。
※ 呱々(ここ)- 生まれたばかりの赤ん坊の泣き声。
※ 哭々(こくこく)- 声を上げて泣く声。
※ 小塚原(こづかばら)- 骨ヶ原とも書いた。鈴ヶ森とともに、江戸の処刑場があった。
※ 壙(こう)- あな、穴。
※ 郭門(れい)- れい。


(ふ)の葬儀、国に例典有り。家に受る所有り。作者の得て知る所に非ざるなり。庶人の喪に遇う。簾を懸けて、凶を旌(あらわ)す。伍家匍匐弔客便(すなわ)ち往く。
※ 夫(ふ)- 成人した男。りっぱな男子。
※ 例典(れいてん)- しきたりの法式。
※ 伍家(ごけ)- 五人組。五家を一組にした隣組の制度。
※ 匍匐(ほふく)- 腹ばいになって進むこと。はうこと。ここでは、這いつくばる、の意。
※ 弔客(ちょうきゃく)- 弔問客。
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