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「江戸繁昌記 ニ篇」 24 葬礼1

(白花ヒガンバナに止るミヤマアカネ)

午後、「駿遠の考古学と歴史」講座に出席した。今日のテーマは「島田東光寺五輪塔遺跡と浜岡石塔群 -中世墓と中世石塔をめぐって-」であった。江戸繁昌記で、今日から読むのが「葬礼」の項、時代が中世と江戸時代で少し違うものの、図らずもテーマが重なってしまった。火葬と土葬、九相図の世界など、興味津々の内容で、いずれこのブログでも触れることになると思う。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

      葬礼
一気蒸々生々の理、万古(尽く)さず。千彙万品、方(まさ)に死し、方(まさ)に生じ、に入り、を出し、人と為り、馬と為る。一閭伍中の左次平爺、四国巡りて猿狙と為る。老聃、これを指して、これを衆妙の門と謂う。
※ 蒸々(じょうじょう)- よい方へ進むさま。向上。
※ 生々(しょうじょう)- 生まれては死に,死んでまた生まれることを,永遠に繰り返すこと。
※ 万古(ばんこ)- 遠い昔。また、遠い昔から現在まで。永遠。
※ 千彙万品(せんいばんぴん)- 万物。あらゆるもの。宇宙に存在するすべてのもの。
※ 機(き)- 物事の大事なところ。かなめ。
※ 閭伍(りょご)- 古代の村の組合。五人組。
※ 猨狙(えんそ)- 猿のこと。
※ 老聃(ろうたん)- 老子のこと。
※ 衆妙の門(しゅうみょうのもん)- 全てのものが生まれ出るとされる門のこと。


孔子もこれを由(ゆ)して出でて、釈伽もこれを由して出る。柳原の夜唱(ヨタカ)もこれより出で、吉原の名妓(オイラン)もこれより出でる。大福餅師も出(い)で、煨薯蕷叟も出ず。一茎百金の万年青(世人、近来万年青を愛す)、四銭一束の小松菘も、並びにこれを由(ゆ)して出でて、千々万々色を為す時は、則ち、今生封侯、前生何れの所の馬骨なることを知らず。
※ 煨薯蕷叟(わいしょよそう)- (「薯蕷」は、ナガイモまたはヤマノイモ。)焼き芋屋の爺さん。
※ 万年青(おもと)- 江戸時代、主に大名、旗本の間でブームとなり、18世紀末の寛政年間、「金生樹」(カネノナルキ)と呼ばれた万年青は、現在の価格で数千万から1億円相当の値がついた。
※ 小松菘(こまつな)- 小松菜。江戸時代なかばまでは「葛西菜」とよばれていた。葛西菜が品種改良され、小松菜になる。糞尿を持ち帰って下肥とし、野菜を江戸に運んだ葛西船を連想されるのを嫌い、常盤の松にあやかった小松の名を採ったとされる。
※ 今生(こんじょう)- この世に生きている間。この世。現世。
※ 封侯(ほうこう)- 諸侯に封じること。また、封土を与えられて諸侯の列に連なること。
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