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道聴塗説 その四 2

(裏の畑の雑草、ホトケノザ)

「道聴塗説 その四」の解読を続ける。

この時、親鸞聖人、年来常隨給仕の間の提撕、その験(しるし)有りけりと、御感の余り随喜の御落涙、千行萬行なり。(聖人と一致なれば、聖人の御臨終の称名も、また然るべし。)
※ 常隨給仕(じょうじゅうきゅうじ)- 常に師に随って給仕していくこと。
※ 提撕(ていせい)- 師が弟子を奮起させ導くこと。
※ 御感(ぎょかん)- 貴人が感心なさること。


私に(専空上人或は真仏顕智の二師の口授か)これを以って、これを案ずるに真宗の肝要、安心要須、これにあるものか。自力の称名を励んで、臨終の時、初めて蓮台あなうらを結ばんと期する輩(ともがら)。(聖人の臨終を期して、往生と心得るを嫌い給うは、この自力称名人なり。他力に依りて信を得て、臨終まで称名を相続するは、前の覚信房の如く、聖人勧化の正義なり。)
※ 専空上人(せんぐうしょうにん)- 浄土真宗高田派第四世。
※ 真仏(しんぶつ)- 真仏上人。浄土真宗高田派第二世。
※ 顕智(けんち)- 顕智上人。浄土真宗高田派第三世。
※ 安心(あんじん)- 阿弥陀仏の救いを信じて、浄土往生を願う心。
※ 要須(ようしゅ)- 無くてはならないもの。必要。必須。
※ 蓮台(れんだい)- 仏・菩薩が座る蓮(はす)の花の台座。
※ あなうら - 足の裏。
※ 勧化(かんげ)- 仏の教えを説き、信心を勧めること。


前世の業因、知り難ければ、如何なる死の縁があらん。火に焼かれ、水に溺れ、刀釼にあたり、乃至、寝死までも、皆なこれ過去の宿因に非ずと云うことなり。(過去の宿因と申して、今生の善悪に廃するに非ず。今世に造悪の人の臨終に、火車などを感じ、また善人に天童など現ずる事あり。偏えに宿因を明すことは、今生は善人なれども、死縁は水火などに没し、或は悪人の臨終にも、悪相も無きは、宿世の因によるべし。今の意は、自力称名の善人なれども、死の縁に水火などの横害に遇うことあれば、宿因のほど、知り難ければ、臨終正念を期して、往生を定むる事は、覚束なき事なりとぞ。この疑いは凡夫の旨にて、一寸先を知らぬ事ゆえ、かくは思うなり。)
※ 業因(れい)- 未来に善悪の報いを生じる原因となる善悪一切の所業。
※ 寝死(ねじに)- 眠っているうちに死ぬこと。
※ 宿因(れい)- 現世に影響を及ぼす前世の行為。前世の因縁。
※ 火車(れい)- 生前悪事を犯した亡者を乗せて地獄に運ぶという、火の燃えている車。
※ 天童(れい)- 仏教の守護神や天人などが子供の姿になって人間界に現れたもの。
※ 横害(おうがい)- 理不尽な害。よこしまな害。


読書:「ブラッドアーム」 大倉崇裕著
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