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「江戸繁昌記 ニ篇」 10 混堂(ゆや)8

(散歩道のギョウジャニンニクの花)

ムサシが食べなくなり、獣医に見て貰ったところ、腸炎で、一日絶食させて、薬を処方してもらってきた。夕方の散歩もムサシ抜きでする。何枚か、花の写真を撮る。その一枚、毎年のように見て来た花だが、ギョウジャニンニクの花らしいと判明した。前は畑に植わっていたような気がする。栽培種なのだろうか。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

楼上また一南郭有りて、茶菓を売る。茶の、概ね山本山の(茶名)上に出ず。或は麦湯を煎ず。饅頭、羊羹、品、糠種、紅を陳(なら)べ、緑を累す。精製に非ずといえども、扭金阿市(並び、菓子名)の前日に比すれば、また餘甘有り。
※ 糝(しん)- こながき。米の粉をかきまぜて煮たてたあつもの。
※ 糠種(ぬかだね)- 糠漬けの漬け物。
※ 累す(るいす)- 積み重ねる。
※ 扭金(ねじがね)- 長方形を中央で一回ねじった形をした駄菓子。
※ 阿市(おいち)- 御市。落雁に似た駄菓子の名。


万能無二、(並び、膏薬名)相撲膏薬。楊木(ヨウジ)、歯粉(ハミガキ)を連ねて、満箱これを貯(たくわ)う。
※ 万能(まんのう)- 万能膏。あらゆるはれもの、傷などに効くという膏薬。
※ 無二(むに)- 無二膏。京都の雨森敬太郎薬房の膏薬。
※ 相撲膏薬(すもうこうやく)- 浅井万金膏。愛知県一宮市浅井町で製造・ 販売された膏薬。別名「相撲膏」。
※ 満箱(まんばこ)- 箱いっぱい。


失物、須(すべか)らく自ら戒(いまし)むべし。決して昼寝を許さず。(予に於いてこれを誅す)並びに署して、壁間に在り。
※ 失物(しつぶつ)- 「うせもの」とルビあり。

裸々一塊、相依りてを囲む。子(小)声、丁々喧嘩、道を争う。傍観、八着を贏(あま)る。当局、一迷を喫す。東南、風急なり。後辺に立ちて助声する者、睾丸を把(にぎ)りて、他の頂上に放在す。
※ 棊(き)- 囲碁。
※ 傍観、八着を贏(あま)る -「おかめはちもく(岡目八目)」とルビあり。
※ 放在(ほうざい)- 入れること。


裸々、並び臥(が)して、手、春畫本を翻(ひるがえ)す。看て妙処に到る。或は起つこと能わず。(青蛇、舌を吐く)
※ 春畫本(しゅんがほん)-「ワライボン」とルビあり。「春畫本」は、性的な描写だけでなく、ユーモアもあふれていたので「笑い絵」と呼ばれていた。

裸々団欒、紅緑泛食す。伴公、甚だ恐れる。他の算数を繆(あやま)らんことを。
※ 紅緑 - 前述の「紅を陳べ、緑を累す」を指している。
※ 泛食(ぼうしょく)- 色々広く食べること。
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