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「壺石文」 中 5 (旧)八月三日(つづき)~ 五日

(バラ・モーツァルト)

先週の木曜日、文学講座で掛川図書館に出かけた時、その近所のお宅でいっぱいに咲いていた花を写真に撮ってきた。名前を調べたところ、バラ・モーツァルトというツルバラの一種だという。病気に強く育てやすいらしい。

午前中に散髪屋に行く。髪を切りながら、店主と家庭菜園の話に花が咲いた。トマトの芽かきの話や、サツマイモのつるの処理や、枝豆は肥料をやり過ぎると葉ばかり繁って豆が出来ないなどと、素人の自分が講釈していた。

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「壺石文 中」の解読を続ける。

本宮の宿の人、松本の茂彦、七十の賀の歌人の、乞いければ、詠みて遣りける。この人の家の名を、うつゆうの屋、というとなん。
※ うつゆうの屋 - 屋号が「鬱憂」(気がふさがること、憂鬱)に通じることを、歌に詠み込んでいる。

   千歳(ちとせ)(へ)よ 家の名に負う うつゆう(鬱憂)
        空
(むな)しかる世の 人習い
※ な~そ - ~してくれるな。~しないでくれ。~するな。

また、題を探りて詠める。秋の祝いという事を、

   刈りあげて 積めば俄かに 富草
        軒端に余る 小田の円
(つぶ)ら屋
※ 富草(とみくさ)- 稲の古名。

秋の情、

   秋去れば 影を頼みて 久方の
        中なる里に 住まゝほしけれ


吉田ノ真琴という人のもとに、招かれて罷る。こゝの殿人ならんかし。堀ノ豊香 熊田ノ真弓などいう人、来合いて、諸ともに歌読む。庭中の虫といふ事を、
※ 殿人(とのびと)- 高貴な家の家人(けにん)。

   想いあれや (むぐら)の宿に 秋の来て
        草の寝もせに 虫の鳴くなる

※ 葎(むぐら)- 広い範囲にわたって生い茂る雑草。

五日、勝依神主の家に、人々集いきて、歌詠む。都の月、
※ 勝依(かつより)-(前述)八幡、熊野両社の大宮司、大原石見ノ介勝依。

   玉垂れの 垂れうち掛けて 澄み昇る
        月に車の 声聞こゆらん

※ 玉垂れの(たまだれの)-(枕詞)御簾を垂れる意、またその編み目が透く意から、「たれ」「みす」「すける」などにかかる。

また、草花という題を採りて、

   移りゆく 秋の嵯峨野の 夕風に
        恨みて帰る 真葛尾
(すすき)
※ 真葛尾(まくずお)-(植物)クズの先っぽ。

また、月前の琴、

   澄める夜の 松の嵐か とばかりに
        月に調
(しら)ぶる 玉琴の声(音)

また、月前の筏、

   仙川や 照る月影を 頼みつゝ
        夕暮れかけて 下す筏師
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