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「江戸繁昌記 ニ篇」 14 混堂(ゆや)12

(散歩道の萩の花)

朝、サイレンの起された。今日は防災訓練の日であった。慌てて洗面後、少し遅れて集合場所へ行く。終ってから帰り道に、萩の花が咲き出したのを見つけた。夕方、ムサシの散歩の時、台風の影響か、東風が吹いていた。台風10号は東よりにずれて、東海地方への直襲は免れそうである。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

別に浄湯(きよめゆ)を蓄う。これを陸湯(オカユ)と謂う。爨奴(三助)、杓(しゃく)を秉(と)る。ここを謂いて、呼出(ヨビダシ)と曰う。奴の出入、これよりするを以ってなり。奴を若者(ワカイモノ)と曰い、また爨助(三助)と曰う。今、皆な僭して伴頭と呼ぶ。(、書画会者流の、先生と僭号する如し)杓を秉(と)る者を、上番(アガリバン)と曰い、(さん)を執(と)る者を、爨番(タキバン)と曰う。間日に更代す。
※ 僭する(せんする)- おごって身分不相応なことをする。
※ 猶(なお)- さながら~のようだ。
※ 者流(はりゅう)- その仲間の者。その連中。
※ 爨(さん)- かまどを炊くこと。
※ 間日(まび)- あいまの日。ひまの日。


また、冷水を蓄う。これを水舟(みずぶね)と謂い、斗(マス)を浮べて、斟(く)むに任す。陸湯、水舟、男女板を隔てて通用す。小桶數十を以って、客用に供す。貴客は別に大桶を命じ、且つ、奴をしてその脊を摩澡せしむ。乃(すなわ)ち、その至るを覩(み)る。伴公、報ず。客、五節毎に銭数を投じて、その労を労(ねぎら)うと云う。
※ 貴客(ききゃく)- 上客くらいの意。
※ 摩澡(まそう)- 洗いみがくこと。
※ 柝(き)- 拍子木。
※ 緡(さし)- 銭の穴に通す細い縄。普通、九六文を一差しとし、百文として扱った。


自分も子供の頃はずっと銭湯を利用していた。その経験によれば、「陸湯、水舟、男女板を隔てて通用す」とあるように、銭湯ではこの部分が唯一、男湯と女湯が通じていた場所で、夫婦者が声を掛け合い、この隙間から石鹸などの、ものをやり取りしていたことを思い出す。

堂中の科目、大略左の如し。曰く、官家(御公儀サマ)通禁の守るべきは固(もと)なり。男女混浴の禁、最も宜しく厳守すべし。須(すべから)く猛(もう)に火を戒むべし。
※ 科目(かもく)-「注意事項」ほどのものだろう。
※ 通禁(つうきん)- 通例の禁止事項。


甚雨、烈風、肆(みせ)を収むる。期(とき)無く、老人家(ガタ)、子弟の浴を扶くる無ければ、謝す。病人、悪疾、並びに、入ることを許さず。且つ赤裸、戸に入るを禁ず。附たり、手巾、頬を罩(こめ)る(ホウカムリ)者。日月行事、白(もう)す。
※ 謝す(しゃす)- 断わる。
※ 赤裸(あかはだか)-まるはだか。すっぱだか。 全裸。風呂は裸で入るものだが、始めから素っ裸の者は入れない。
※ 手巾(しゅきん)- 手ぬぐい。(頬かむりを「附り」にしたのは、外せば入れるからであろう)
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