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年季奉公の請状-古文書に親しむ

(日曜日に出席した結婚式の一コマ)

日曜日に親戚の結婚式に出席した。身内だけの小人数の披露宴で、司会進行を花婿が行うという、和気藹々の披露宴であった。

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今日のテーマは土曜日の「古文書に親しむ」講座で解読したもう一つの文書である。江戸時代の就職の一形態であった「年季奉公」の契約書である。たぶんこういう文書はあっただろうと思うが、自分も初めて見る文書である。内容から見て女中奉公のようなものであろうか。「御法度宗門」はキリシタンのことであろう。現代の感覚で言えば、契約内容は労働側にかなり厳しいものであったと思う。しかも契約したのは本人ではなく保護者(多分父親)であった。

【 解読 】
請状手形之事
一 拙者娘□□□申女慥成者ニ御座候ニ付我ホ
請人ニ罷立壱年季ニ相極御奉公へ出し
申所実正ニ御座候為御給分与金子壱分
銭三百文只今御渡し慥ニ受取申候御仕着
之儀者夏単物壱つ冬者似合之袷壱つ可
被下候積に御約束仕候御奉公之儀者不限昼
夜ニ御意次第急度相勤可申候
一 御公儀様御法度之儀者不及申其外
如何様成義出来仕候共何方迠茂請人罷
出急度埒明少茂貴殿ニ御苦労懸ケ申
間敷候
一 宗旨之儀者代々浄土宗専求院旦那ニ紛
無御座候若御法度宗門与申者御座候ハヽ請
人何方迠罷出急度申王け可仕候為其寺受
状拙者方取置申候将又此者長煩仕又は御氣
ニ入不申候ハヽ人代ニ而も給分ニ成とも御意次第ニ
急度返済可申候為後日仍如件
  宝暦四戌十二月     牧之原人主  孫兵衛 ㊞
                 請人  五兵衛 ㊞
      八兵衛殿

           
【 読み下し 】
請状手形の事
一 拙者娘□□□申す女、慥か成る者に御座候に付、我ら
請人に罷り立ち、壱年季に相極め御奉公へ出し
申す所実正に御座候、御給分として金子壱分、
銭三百文、只今御渡し慥に受取り申し候、御仕着せ
の儀は夏単(ひとえ)物壱つ、冬は似合の袷(あわせ)壱つ、
下さるべく候つもりに御約束仕り候、御奉公の儀は昼
夜に限らず御意次第、急度相勤め申すべく候
一 御公儀様御法度の儀は申すに及ばず、その外
如何様なる義、出来仕り候とも、何方までも請人罷り
出、急度埒明け少くも貴殿に御苦労懸け申す
まじく候
一 宗旨の儀は代々浄土宗専求院旦那に、紛れ
御座なく候、若し御法度宗門と申す者御座候わば、請
人何方まで罷り出、急度申しわけ仕るべく候、そのため寺受け
状、拙者方取り置き申し候、はたまたこの者長わずらい仕り、又は御気
に入り申さず候わば、人代わりにても給分になるとも御意次第に、
急度返済申すべく候、後日のためよってくだんの如し
  宝暦四戌十二月     牧之原人主  孫兵衛 ㊞
                 請人  五兵衛 ㊞
      八兵衛殿

※ 実正 - 偽りのないこと。まちがいのないこと。たしかなこと。
※ 埒明け - 物わかりがよくて、何事にも手際がよいこと。ここでは「手際よく問題を解決すること」をいう。
※ 旦那 - 檀家。
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