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雨雲に追われて宇和島へ

(柏坂の上から伊予の海岸)

お遍路10日目、11月10日(火)歩数43,815歩-距離29.1km。一日30kmのノルマ、7日目にして切れる。今日は午後は雨だとの予報に、雨が降る前に何とか、柏坂の難所を越えて、宇和島に泊まりたいと思った。宇和島より先に足を延ばしてもその先がうまくいかないから、30kmを切ることになった。

今日のコースは、かめや旅館-2.2km-柏坂・柳水大師(標高400m)-0.9km-清水大師(標高460m)-26km-佐々木旅館(宇和島市)、のコースである。

かめや旅館は新しい気持ちの良い部屋で、同宿の掛川のSさんも当りだったと言う。一つ、乾燥機がなくて洗濯槽でそのまま乾燥できるというのでやってみた。乾いたのは乾いたが、しわくちゃで出て来た。そのしわがどうしても伸びない。結局、白衣とズボンはしわのまま着て出た。

いきなり山登りになった。Sさんにはマイペースで先に行ってもらった。まだ目が覚めやらないため、パワーが出ない。待っておられると気になってこちらのペースも乱れる。Sさんは先へ登って行ってしまい、その後、姿を見なかった。雨雲にせかされて、宇和島に急いだのだろう。

約500メートルの山を一時間半掛かって登った。それから30分の尾根歩きは快適だった。空は曇っていたが雲はまだ薄かった。リアス式の岬が幾重にも重なった伊予の海の眺望がすばらしかった。山を下って遍路道を正確にたどって国道56号線に出た。松尾トンネルに向う手前でうどんの昼食を食べた。うどん屋の女性が雨が降ってきたというので、そこで合羽を着た。うどん屋を出ると止んでいた。合羽の上だけ脱いでトンネルに入った。ここはトンネルの上を抜ける遊歩道があるというから、お天気がよければ時間が掛かってもそちらを行くつもりだった。しかしこの雨ではトンネルも致し方ない。ところがこの1.7kmのトンネルが地獄だった。轟音、息の詰まる排気ガス、風が通わずにむっと暑い。ふらふらになりながらトンネルを抜けた。

掛川のSさんは宇和島のビジネスホテルに泊まると言っていたが、宇和島にビジネスホテルはたくさんある。自分は早々と佐々木旅館に宿を予約した。これで修行の道場の高知県で出会い、ともに遍路した人々とすべて縁が切れた。菩提の道場の愛媛県で、また新しい歩き遍路の仲間が出来るのだろうか。高知県で恵まれた天気は、愛媛県に来て一転して雨の日が続きそうな予報になってきた。これからは天気を気にしながらのお遍路になる。

宇和島の市街地に入って交番で佐々木旅館の場所を教えてもらった。丁寧に教えてくれたが、佐々木旅館はまだやっていたかなあ、などと人を不安にすることを言う。野宿は襲われたりするから止めた方がいいとか、あれやこれやお遍路のことを聞いてくる。ようやく開放されて外へ出ると、ぱらぱら降っていた雨が篠付くような雨に変っていた。夜になって雷が鳴って大雨になっている。朝も残るというから、朝食の時間は7時でいいとおかみさんに話した。
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