2018年4月12日(木) 7:00pm 小ホール、東京文化会館
シューベルト・サイクル Ⅴ
ピアノ・ソナタ第7番変ホ長調D568 9-7-4-10
ピアノ・ソナタ第14番イ短調D784 12-4-6
Int
ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959 16-8-5-11
(encore)
ピアノ・ソナタ第6番ホ短調D566第3楽章 5
ピアノ、エリーザベト・レオンスカヤ
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シューベルト6回サイクルのうち5回目。この前、サイクル2回目を聴いて、今日もう一度お邪魔しました。
2527- シューベルト、ピアノ・ソナタ、9、15、18、エリーザベト・レオンスカヤ、2018.4.6
登場も引き際もあっさりとしたもので、構えることなくすーぅと弾き始めるやいなやシューベトの世界にすぐに引き込まれていく。
7番は2楽章の短調が美しい。ウェットなたたずまい。その余韻を引き継ぐマイナーモードの3楽章。物憂げに引き継いでいる、ひきずることなくやや骨太に進めていく。
これで十分の30分作品。次の14番は3楽章構成で、もはや、1楽章足りないという感覚。
この終楽章は激しいですね。宙に浮くような感覚の作品、これも申し分なく楽しめた。
後半は大曲、遺作の一つ。
なんというか、天国的な長さの作品ではあるのですけれども、その1,2楽章で言いたいことはほぼ言い尽くしていると思うので、弛緩することなくここを乗り切るのは奏者にとって容易なことではないだろうね。シューベルトの頭2楽章は難所。
と、大体いつも感じるのです。レオンスカヤのピアノというのはこのロングな楽章たち、息の長い音楽、遠くにある着地ポイントを弾き始めるときから実はわかっていて、一点のぶれもなく、その遠くの着地ポイントに正確に着地する。それはまさにシューベルトの思いと同じ。ここが素晴らしい。もはや、一心同体。聴いているが一瞬たりとも弛緩することなく聴けるというのはこの大きな流れをつかませてくれるから。聴衆もアクティヴな聴き方がもちろん望まれる。客のアドレナリン噴出のお手伝いもしてくれている。
テンションが徐々に高まっていく。抜けるような終楽章の歌。スバラシイ。別世界の高みに連れて行ってくれる。なにやら、晴れやかですらある。心地よいフィナーレ。
シューベルトの極意を殊更スキルを前に出すことなく、あっさりと高みまで運んでくれる。凄いピアニストですな。
シューベルト、ますます味わい深くなる。ありがとうございました。
おわり
東京・春・音楽祭2018