河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2527- シューベルト、ピアノ・ソナタ、9、15、18、エリーザベト・レオンスカヤ、2018.4.6

2018-04-06 23:18:07 | リサイタル

2018年4月6日(金) 7:00pm 小ホール、東京文化会館

シューベルト・サイクル Ⅱ

ピアノ・ソナタ第9番ロ長調D575  8-6-5-5

ピアノ・ソナタ第15番ハ長調D840レリーク 17-9

Int

ピアノ・ソナタ第18番ト長調D894幻想  20-9-4-9

(encore)
三つのピアノ曲D946より第1番  6

ピアノ、エリーザベト・レオンスカヤ


スペシャリストにしてオーソリティのシューベルトを満喫。にじみ出る威厳、それはそれとして、表情の変化、豊かな色彩、みなぎる力、陰影、いろんなものが全て彼女の中に内包されていてそれらが次々と表に出てくる。聴いているほうはその多彩さに耳を奪われる。素晴らしいシューベルトでした。

シューベルトのフォルムはだいたい決まっていて、ピアノ・ソナタだと第1,2楽章で言いたいことは大体言い尽くしていると思っているのだが、レリークみたいにその代表格のような1,2楽章のみの巨大ソナタでさらにその思いを強くする中、これまた巨大な18番D894を今日の様なプレイで聴かされると、やっぱり、粒立ちが良くて魅惑的なスケルツォトリオ、透明な律動が鮮やかなフィナーレも素晴らしすぎて、その完成度の高さに唖然とし感銘がさらに深くなるというものだ。
巨大な1,2楽章は一音ずつ噛み締めて聴く。噛めば噛むほど味わいが出てくる。指一本の単旋律の流れとハーモニーの進行が境目なくシームレスにナチュラルに流れてく。正確な音価、精度の高いプレイは基盤、その上にシューベルトの憧憬の音楽が奏でられていく。正面突破のシューベルト。素晴らしい。このような演奏で聴いているとD894の立ち位置がよくわかりますね。

レリークはシンフォニーの未完成のようなことだったのだろうか。巨大な1,2楽章で本当に言い尽してしまっているようで、彼にとって定形式の3,4楽章を創作する力よりも次の作品を創作するほうに力点が移ってしまったのかもしれない。この前半2楽章にバランスする後半2楽章を作るのは容易ではないとは、たしかに、思う。

1曲目の9番はあまり聴くことが無くて、型へのウエイトが高く、調は揺れ動いていく。このソナタも大きいもので手応え十分。形が把握できるまで次に進まないというか、理解に時間をかけられるのでこれはこれで中身を味わう時間が沢山あって、いいですね。

総じて、スペシャリストの仕事は手堅くてそして自由、実に味わい深いですなあ。作品への愛着、いつくしんで撫でているようなプレイ、そこはかとなく漂い広がるシューベルトモード。作曲家の境地が浮き上がってくる。このような生演奏で聴いてこそ頭の中に刻印されるシューベルトの計り知れない体験。
おわり

東京・春・音楽祭2018




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