河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2668- コープランド、ファンフェア、クラリネット協奏曲、重松、交響曲第3番、ヒュー・ウルフ、新日フィル、2019.2.7

2019-02-07 23:58:26 | コンサート

2019年2月7日(木) 7pm サントリー

オール・コープランド・プログラム

Fanfare for the Common Man   4

クラリネット協奏曲  17
 クラリネット、重松希巳江

(encore) with Base
モートン・グールド ベニー・グッドマン70才誕生日に  2

Int

交響曲第3番  11-8-10+13


ヒュー・ウルフ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

スペシャリスト、ヒュー・ウルフによるまことに香ばしいオール・コープランド・プログラム。

大作のシンフォニー3番。冒頭楽章の一音目から聴き入るしかなかった。音色バランスというよりも、正確な均等配分とでも言えばよいのか、聴いたことも無いようなブレンドされたハーモニー。各インストゥルメント、アンサンブル、音の強弱が見事にバランスし進行する。ヒュー・ウルフの冴えた耳感覚のなせる技だろう。どの音も押さない引かない、ちょうどよいのだ。ハーモニーの進行がこれほど美しく響くとは、なんというか、正しく驚いた。正確な音の配分でめったに聴けない音色(ねいろ)アンサンブルのハーモニーと全体合奏。その中に一筋のファンフェアのフシが絶妙に出入りする。スペシャリストの作り出すパフォームは限りなく用意周到と言わねばならない。
レガート気味のストリングと出しゃばらないブラスセクションの一体感。ウィンドはなめし皮のように流れる。小川の底が見えるようだ。パーカッションのアクセントが物凄くメリハリ効いていて実にツボツボ、ツボですなあ。コープランドの立体感が一瞬にして構築されて、お見事というほかない。静かなパレットが大きく広がっていく。美しかった。

続くスケルツォ楽章はこの曲では一番短いものだが、それでも10分に迫るもので、フォルムの安定感もさることながら随所にちりばめられたコープランド特有のリズミカルな躍動感が生き生きと伝わってくる。ウルフの振る初楽章はウェットなコープランドサウンドを醸し出した見事なもので、続くこの楽章でも刻みは刻みとしても、なにかこう、しっくりと音が鳴る。乾くことが無い。
第1楽章はまるまる序奏の様な趣きなのだが、耳を拡大してみると、動く2楽章があって、3楽章はもう一度序奏に戻り、アタッカで入る終楽章が大きなコーダ・フィナーレ。つまり序奏とコーダ・フィナーレだけの構成のようにも聴こえてくる。
このウィンド弦楽メインの3楽章は初楽章と同じくコクがあって味わい深い。ファンフェア主題がより明瞭に近づいてくるのを感じますね。レガートモードでぎっしりと音を埋め込んでいくストリングは聴きごたえあります。ストリングの合奏ではコープランドシンコペーションは薄められている。深い弾きに身を浸す。

やがて静けさを取り戻しいつのまにか終楽章のファンフェアが弱音で奏される。劇的な回帰ではない。静かなのだ。この静まりで1曲目のfanfare for the common manを思い出すことになる。ああ、なんだか最初に聴いたなあ、という感じと、そもそも根源的にあったようなものが綯い交ぜになっているようでもあり名状し難い心持となる一瞬とでも言えばよいのだろうか。
音量を増して熱を帯びてくる終楽章だが、ウルフの求めているものはパワーではないだろう。パワフル演奏を求めているのではないのは最初のファンフェアで明白。飽くまでも均整であって、聴後感というのは、この戦後作品をクラシックなもの古典の領域に屹立させたようなものだと深く思う。正比例グラフのような音量の増大は周到に配置されたバランスの響きであり、正しく正確で、思えば最初の楽章からそういった思いがあり、ここに最終的に集大成の響きワールドを結実。まさしく、古典的なウルフのパフォームが見事にきまった。
しびれました。


前半の2曲目に置かれたクラリネット協奏曲。これも聴きもの。
ゆっくりと、なにか、アイヴズ風な丘陵の家々、煙突の煙、そのようなものが心象風景としてイメージされた音楽、そんな歩みをクラリネットの重松さんが緊張感の中にいい色合いでプレイ。吹き始めはそうとうな緊張感のように見うけました。音は少しずつもまれてきて、ようやく柔らかい響きが居心地良さを感じさせてくれる。
やがて、コープランドのリズムの世界。ノリとはちょっと違う。音がとんがってない。このオーケストラに身を置くクラリネットの音とパフォームだと思う。なんだか、奥ゆかしい。
シンコペ的なリズムの殊更な強調といった事はそれ主眼のプレイとしていないことで明白だし、はみ出させることでは無くて内に向かう美的センスを思わせる。ウルフと相似形なところがあるように思いましたね。
アメリカ風味と和がジャストマッチにブレンドしたような表現だった。極上の内容で大いに楽しめた。
アンコールでプリンシパルのコントラバスさんがクラリネットと並びモートン・グールドの作品を。
はじけるベース、粋に間を埋めいくクラの洒落た味。オーケストラメンバーの息の合った演奏、これも楽しかった。

ウルフさんにはもっと来日にしてもらってアメリカ物をたくさん振って欲しいものです。


この日は、同オケの600回目の定期公演という節目のもの。ロビーには色々と昔の写真、プログラムが置かれていました。
客入りは7割ほどでしょうか、最近の同オケの充実度を思うにつけ、もっと盛況になってもいいと思います。
まずは、おめでとうございます。
おわり



























コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。