2018年2月10日(土) 2:00pm 東京芸術劇場
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23 22-6+7
ピアノ、ニコライ・ルガンスキー
(encore)
チャイコフスキー(ラフマニノフ編曲) 子守歌 5
Int
ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調Op.27 19-8-11-10
ユーリ・テミルカーノフ 指揮 読売日本交響楽団
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昨年はキャンセルになったルガンスキー。今年は聴ける。
阿吽の呼吸のロシアの巨匠が伴奏をつける。大きなフレーム感覚が余裕を感じさせながらチャイコフスキーが始まった。読響の正三角錐音場が心地よい中、一つずつの音がすーっと立っている、隣の音と混濁接触しないきれいな響きのピアノ、独特のピュアサウンド。エンドフレーズをやや蹴り上げ気味にしながら、すっきりとしている。
オケから浮き上がってくるピアノが美しい。カデンツァの一瞬掻き回しているように見えながら実のところ歯切れがよくてリズミック、正確でパッセージ頭の揃い具合が小気味いいプレイ。2楽章中間部の跳ねるような動きともども、聴きごたえありました。
奥行き深くセットアップされたオーケストラ、その伴奏は一音ずつくさびを打っていくような進行、決して前のめりになることが無い。熟成されたアンサンブルハーモニーが下支えする。ユニークな演奏。
かなり奥までセットアップされているせいか、ブラスは塊で威圧する感じが無くてその分、ピアノがよく聴こえてくる。配置の妙、奏功した。ルガンスキーの冴えた演奏を満喫。
後半のラフマニノフ、悠々とした演奏の手応え感なんだが実のところそんなにスローなものでもなくて、緩徐楽章は結構なテンポで進む。全体としては50分を切るもの。カットはあると思う。
ソロ陣は好調ではなかったようだが全体としてはいい鳴りで、テミルカーノフ大家の芸風を楽しめました。カミソリシュートとは対極にある演奏ですね。この大家にじっくり合わせることのできる読響の熟成感は、これはこれで凄いものがあると思いました。
おわり