2018年2月9日(金) 7:00pm 紀尾井ホール
シューベルト ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調D345 10′
ヴァイオリン&指揮、ライナー・ホーネック
J.シュトラウス父 ワルツ「四つの気質」Op.59 11′
ピアノ、小川典子
Int
ヒンデミット ピアノと弦楽のための主題と変奏「四つの気質」 6-6-5-6-6
ピアノ、小川典子
シューベルト 交響曲第5番変ロ短調D485 5-11-5-6
ライナー・ホーネック 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団
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何度か聴いているオケ、いつも俄作りのアンサンブル音の印象が耳につく。具体的にどうこう言えるものでもないけれど、特色のないのが特色なのかもしれない。ルツェルン祝祭管なんかはもっと薄い関係で成り立ってるオケなんだろうけど、全員べらぼうなうまさという特色がある。もっと濃い関係の紀尾井だとは思うのだけれども。
ということでこのオケに足を運ぶのは作品やプレイヤーに興味があるときだけです。今日はその両方揃ったので出張りました。
シューベルト2作品に挟まれた2作品、ともに副題は四つの気質。憂鬱、多血、粘着、胆汁、これら4液体を各ピースの副題にしたもの。
聴きものは何と言ってもヒンデミットの作品。小川さんの独壇場で、ソロリサタイルのような名状し難い面白さ。ピアノの入りのところ、棒を見て慎重に合わせている、そこだけ少し流れの悪さを感じるが一度入ってしまえばあとは透明なピアノが自在に動く姿を満喫できる。いつもキリッとはっきりした小川ピアノ。ヒンデミットのドライで無機的、無表情ともいえそうな一種独特な作品に寄り添うというよりも、曲からウエットで滑らかな情感を引き出してくれた。彼女は指揮者ではないのでここではピアノを弾くだけなんでちょっと残念な気もする。フレーズの角を少し柔らかに削り取り幅広な音で響きの世界を作り出す。魅力的なピアノ。作品の4液体はちょっとグロテスクな言葉、そんなことを忘れさせてくれる、切れる液体にしてくれました。ヒンデミットの面白みが一段と映えました。大きな作品でした。
アンサンブルをするうえで唯一の共通点が譜面のように思えるこの室内管、ヒンデミットの作品はその一点で十分聴かせてくれる。伴奏は弦だけ。
もう一つのヨハン・シュトラウス父による四つの気質は、ポラックという人の編曲もの。じんたちょうの演奏にはまいった。
シュベ5のスケルツォ楽章でウィンドにルツェルンを思い出させるようなところが一瞬だけあった。
おわり