2018年4月20日(金) 7:00-9:20pm サントリー
アイヴス ニューイングランドの3つの場所 (version4) 10-7-5
Int
マーラー 交響曲第9番ニ長調 29-16-13-28
シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団
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カンブルランが2015年に答えのない質問と新世界よりを連続演奏した時はかなりのインパクトだった。
1749- 答えのない質問 カンブルラン、読響、2015.2.13
今回はオーケストラル・セットNO.1とマーラーの9番。休憩を入れてのプログラム。
パットナム・キャンプは不思議と静かさが支配する演奏で、そのリズミックな様に大きく覆いかぶさるように流れていき、いろんな曲が紛れ込んでいるといった趣向もあるとはいえ、派手な演奏とはなっておらず、それはむしろボストン・コモンの静けさがよく聴くと大きなリズムの流れが巧妙に縫合されていたものだったのかと、顧みることをさせる音楽となっている。カンブルランのタクトというのはそういったフシのあたりを絶妙に強調させ、特に弱音系パッセージでのスローで息の長い音楽をハイなテンションで持続させることに長けていて、説得力が強烈でうならせてくれる。フーサトニックも含め心象風景的なプレイス表現をとアイヴスが思ったのかどうかわかりませんけれども、オーケストラの特色もあって骨太なセットで、特別に腰を重くすることなく全インストゥルメント同じような圧力バランスで奏されたアイヴスは音楽の内面化を漂わせ、色々と考えさせてくれる。これはこれで大いに楽しめた。カンブルランにとってアイヴスは魅力ある作曲家とうつる。後で発掘された前衛なのだろうか、今、魅力ある作曲家となっている。
マーラーの9番は聴きようによってはフシが一つしかないように思える。カンブルランの方針というのはアイヴスと同じとみる。1時間半に迫る演奏、大きなフレーズの縫合が次から次へと行われていく。このくらいスローにしているからこそ音楽的効果が出ると言わんばかり。
粘り気を盛ることは無くスーッと進んでいく絶妙なフレージング。濃さもほどほどなサラリとしたヴィネガー風味。アイヴス同様の圧力バランスで、ロングスローで息の長いフレーズがこと切れることなくつながっていく様は見事の限りで、こういったところが指揮者カンブルランの真骨頂。応えるオーケストラの緊張感が心地よい。
異常なテンポになったエンディングコーダはそれ一つでなにやら第5楽章のような味わいに拡大。最後の4音をアクセントしないで気張らずそれまでの響きと正比例減衰するように終わらせたのも彼のスタイルだろう。グサッグサッグサッグサッやってしまうと終わりの終わりのように聴こえてしまうしね。彼の狙いはきっと先を見据えてのことだろうと思う。
おわり