河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

電気河童の夢 6

2006-09-30 23:33:43 | 音楽

僕はいきつけの茶色の小瓶でいつもの、あまり透き通らないぐらい厚いステンドグラスのような味のブローラを飲みながら、小石で割れたガラスのようなのどごしを楽しんでいた。

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カパコ「やっぱりここにいたのね。」

河童「どうしたんだい。」

カパコ「ただなんとなく。」

河童「何か飲む。」

カパコ「うん。あまりドライじゃないマティーニでも。」

河童「OK。作ってもらおう。カパコは美人だからあのバーテンダーもきいてくれると思うよ。」

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カパコ「おいしいわ。」

河童「今日のカパコ少し元気ないみたいだな。なにかあったのか。」

カパコ「ちょっと仕事で面白くないことがあったの。でもこうやってあなたと飲んでいると少しずつ気が紛れてきた。やっぱり、あたしあなたがいないと生きてゆけないみたい。」

河童「なんだ、もう酔ってるのか。」

カパコ「あなたはあたしの気持ちの隙間をうめてくれるだいじな河童よ。」

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河童「ところで少し前一緒にカラオケ行ったけど、カパコ、歌ものすごぐうまかったよね。トレーニングしてたの。」

カパコ「んんん。そんなことないわ。人間音楽学校で少し歌ってたから。でも専門はピアノよ。」

河童「そうだね。ピアノのことは塔レコでのCD選びでわかってるよ。僕の一番好きな曲はベートーヴェンのテンペストだ。」

カパコ「そうなの。あたしそれなら少し弾けるわ。今度あなたのために弾いてあげる。」

河童「あの曲のうねり、もつれる糸、ほぐれるわけでもなく、解決は聴くほうまかせ。ベートーヴェンのピアノ・ソナタはどれもこれも素晴らしいね。」

カパコ「あたし、本当はあなたと連弾したいぐらいだわ。」

河童「ユニゾンでね。僕らはいつも一緒だ。」

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カパコ「あたし、昔のことは覚えてないの。今が大事。」

河童「昔のことは話したくないんだろ。」

カパコ「そうかもしれない。でもなぜわかるの。」

河童「僕がわかるのはそこまで。あとはカパコの気持ちしだい。」

カパコ「そうね。あたしの心は閉ざされている。」

河童「カパコには夢や希望はあっても、それはなんのため。」

カパコ「わからない。」

河童「力は余っているけど、なににどうやって使っていいかわからない。」

カパコ「そうかもしれない。」

河童「でもなぜそうなってしまったの。」

カパコ「この話しはもうやめましょ。あたし自分で自分のことを見つめるのが怖いの。」

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カパコ「きょうは送って。」

河童「いいよ。もうおそいからタクシーで送るよ。」

カパコ「少し歩きたいの。」

河童「ちょっと寒くなってきたね。」

カパコ「あたしの左手握って。」

河童「わかった。」

カパコ「あたたかくて気持ちがいいわ。」

カパコの手は思いのほか小さくピアノのオクターブがぎりぎりかもしれない。でもそんなカパコがいとおしく、しっかり握りしめ、深夜の街並を気持の通じるまま歩き果てた。

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ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」

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