2017年11月14日(火) 7:00-8:40pm フィリアホール
モーツァルト ピアノ・ソナタ 変ロ長調KV570 6-8-4
シューマン フモレスケ変ロ長調op.20 6-4-4-3-8
Int
ブラームス ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ変ロ長調op.24 20-6
(encore)
シューマン 森の情景 より、孤独な花 Op.82-3
ピアノ、デジュー・ラーンキ
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今日は最前列さんになりました。
昔、高校の美術の先生が、素晴らしい絵というものは近くから見ても遠くから見ても美しいものだ、と、何かの話の脈絡で語られたことがあってそれがずっと今でも脳に突き刺さっていて、また、その先生の好みがヤン・ファン・アイクらしくて、まぁ、同じタイミングでの話ではありませんけれども、後年オランダに行ったときにアイクの絵を見ながら、そのセリフを思い出すことがあった。今でも引っ掛かりのあるセリフで脳内滞留。
彫琢の美、デフォルメや誇張の前にやることがあるだろうとラーンキが言ったかどうか知らないけれどもそういった事を感じさせる。
ラーンキを聴くのは今年2度目。
2409- ベトコン4、ラーンキ、マーラー5、上岡、新日フィル、2017.9.14
それから、2015年にも聴きました。
1820- ウィンドSym、バルトークpf協1、ラーンキ、運命、ノット、東響、2015.7.16
あと、40年前にも聴きました。
870- ラーンキ&バル3 シチェドリン&カルメン 1977.9.14
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変ロ長調の作品、3連発。全部聴き終わると身体がこの調に馴染んでくるの。かもしれない。
端正なプレイ、時折1拍目がふわっとして柔らかくなる。ジャブジャブしない。局部肥大化やデフォルメなど余計なお化粧が無い。
モーツァルトの流れが最初からとてもいい。ちょっときつめなところもあって激しさが出たりする。作品のスタイルが前面に出てくる。きれいな響きで満喫。
シューマンはやや抑えたテンペラメントが色々と手を替え品を替え変え浮き沈みする。作曲家独特のそのモコモコっとしたところをラーンキがすっきりと表現、自然なメリハリ。作品の事がよくわかる演奏。いい作品でした。
ブラームスは大曲でした。最後のフーガが結構長くて、その前にある主題と25個の変奏、ひとつずつ取ると短いもの。次々とあっという間に去っていく感じなんだが、ブラームスがキラキラと輝いている。フォルムを崩すことなく端正に、そしてタッチは見事に光る。ブラームス独特の色合いとラーンキの鮮やかなプレイがマッチしたいい演奏でした。
かぶりつきで聴いていると、なんだか、自分のためだけに弾いてくれているような錯覚に陥る。
ありがとうございました。
おわり