ベリーニのロメオとジュリエット。これは4回公演。ベリーニのあふれ出るメロディーの美しさに気をとられ、雰囲気の陰影を忘れかけてしまいそう。この日はこんな感じ。
1988年9月5日(月) 18:30 上野
ベリーニ カプレティとモンテッキ
ロメオ、アグネス・バルツァ
ジュリエッタ、レッラ・クベルリ
カッペリオ、ポール・プリシュカ
ティバルド、ヴィンセンツォ・ラ・スコーラ
ロレンツォ、ジョルジョ・スルヤン
指揮リッカルド・ムーティ
配役は完全なダブルキャスト。他日のジュリエッタはルチア・アリベルティも歌っている。
ベリーニのオペラの場合、悲劇の陰影もさることながら、あふれ出るメロディーの数々に耳を奪われがちである。薄くなりがちな音であるが、そんななかにも音の光と影が交差してよい響きを醸し出していた。
ズボン役となったバルツァは、暗くて平面的幾何学的な舞台には、あまりマッチしなかったような気がする。
このオペラはストーリーがわかっているだけに油断大敵。結局このイヴェントのあとになってよく聴くようになった。このような現象はたまにある。同じくベリーニのイ・プリターニもそうだった。サザーランドの生をみてからはまってしまった。