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1458- エポックメイキング・ナイト、マーラー10番クック全曲版、金聖響、神奈川フィル2013.2.15

2013-02-18 19:00:00 | コンサート
2013年2月15日(金) 7pm 横浜みなとみらいホール

マーラー 交響曲第10番嬰ヘ長調
デリック・クック補筆完成版

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金聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

マーラー全曲企画の一環のようですが、この曲全曲をやるだけで残りの分全部ほどの価値がある。国内外問わずブレークしっぱなしのマーラー公演、それに録音ですけれど、こと10番全曲版に関しては、数えるほどしかないと思う。レアなのは当人の作ではない部分が多すぎる為と思われるが、9番までこれだけブレークしているんだから指揮者のスタンス含めもっと考えを先に押し進めてもいいかと思います。指揮者の意にそぐわなくてやらないケースでもやる、を含めて、聴衆に判断させる」ある部分、そういうところがあってもいいかと思います。解釈より曲が先です。
解釈より曲が先ですが、その曲自体に問題があるということはわかりつつ、まず音響にしてみたらどうか。
クック版はあまり拡大解釈のない全曲版で、これまで相応の地位を築き演奏されてきました。昔は全曲版と言えばクック版。今はたくさんの版が出ています。指揮者によっては、この版ならやる、あの版ではやらない。ということの無いようお願いしたいと思います。解釈が先に立つ指揮者は今ではあまりいませんし。個別のオーソリティはいると思いますが。

ということで、この日の棒は金聖響さんお初です。曲に対して大変に素直な指揮で、上記のような問題点も感じません。もっと欲しいのは生々しさかな。

第5楽章の冒頭は死者さえ生き返るバスドラの地響きで始まると思いきや、「ポン、ポン、・・」とやや強めのお経風で、ちょっと拍子抜けしました。あの太鼓は何と呼びますか?平土間からは見えません。

第1楽章と第5楽章はアウトラインが見えてこない。
本人作の第1楽章においても主副テーマとその対比みたいなところはなく、モヤモヤと進むやにっこい曲。むしろ、第1楽章が回帰する第5楽章ではその回帰よりも前楽章の雰囲気の継続が濃厚で、当人作ではヤッパリないよな、と感じさせるところは大いにあるものの響きの変化ではこの第5楽章のほうがよっぽど面白い。
中間部で弦が思いっきり歌いその頂点で弦が止み、ポンがはいりチューバソロが再起。これはこれでいい感触の縁取りでしたけれども、終結部では再度うねる弦が鳴る鳴る、のはずの帰結が肩透かしというか空振り、これはオケに問題があると思います。響きが薄く感じるのは物理的なせいかもしれませんが、それとは別に、滔々と流れない。指揮者の意が音の流れとして見えてこない。その意味では第1楽章も同じです。
「コクが無い」というのは抽象的な表現とは思いますよ、でもそんな感じ。
しかし、そのコクの前に、

もっと前に、味のある演奏の前に、「フルぢから」で。
よくわかりませんがこのオーケストラは、パート練習が多く、生演奏会(GPも含め)が少ないと感じました。後戻りのできない生々しい生演奏を繰り返せば「コクの感触」まで行き着くことができるのではないか。手がかりはスコアだけ、最初はたしかにそうですが。
誰か骨太の奏者が何名かいて強引さをだせば、オケもたぶんイキイキしてくると思う。

指揮者は引っ張ろうとする。なかなか、フルぢからでついてこないもどかしさ。
それでも第5楽章の面白さはよくわかりました。
オーケストラは、ブルガトリオと前後ろのダブル・スケルツォ、この三つの楽章の流れがいい。それから、ブルガトリオのあとそのまま第5楽章に入っていくような錯覚をおぼえました。この第3楽章と第4楽章は違う音楽のはずなのに異質さを感じない、むしろ同質の響きに聴こえてくる。オーケストラの流れの良さがあったからかもしれません。
この第4楽章のいい流れが第5楽章で再度クローズアップ。このようなケースはマーラーではあまりなく、第5番の第4,5楽章は速度を変えれば同じふしの山、といったケースもありますがそれとは方向性とか暗さの度合いが全く異なる。
10番はやっぱり他人の作ということになるのかしら。

メラメラとした生々しさや、オーケストラの赤裸々な演奏を。それがこの曲のスタイルかどうかは別にして、オーケストラの表現の幅の広さを示すことができるという可能性の部分で、円の片側に留まっているように見受けられました。
総じて10番の体験としては意義深い夜となりました。ありがとうございました。
おわり



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