河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1625- 蝶々夫人、二期会、ルスティオーニ、都響2014.4.27

2014-04-27 22:49:30 | インポート

2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2014年4月27日(日)2:00-4:45pm 東京文化会館
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プッチーニ作曲
栗山昌良プロダクション
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蝶々夫人
 第1幕48′
 Int.25′
 第2幕47′
 第3幕31′
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キャスト (in order of appearance)
ピンカートン 樋口達哉
スズキ 小林由佳
シャープレス 泉良平
ちょうちょうさん 木下美穂子
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ゴロー 栗原剛
ヤマドリ 鹿野由之
ボンゾ 佐藤泰弘
神官 渥美史生
子ども 今野后梨
ケート 谷原めぐみ

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二期会合唱団
ダニエーレ・ルスティオーニ指揮
東京都交響楽団
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セットもさることながら、人物の動きがきわめて美しい舞台であったように思う。特にスズキ役の小林の微に入り細に入りの至れり尽くせりの動きのしぐさの自然な美しさは特筆に値しよう!
同じくちょうちょうさん役の木下の、こちらはストップモーションというか静止した時の決まり具合の美しさが素晴らしい。ハミングコーラスにおける舞台の奥から光が照射された逆シルエットはそのアイデアとともに静止した美であり、それだけで涙ものだ!ハミングコーラスで我々はそれまでの物語のことを思い起こし、そして先の悲劇まで感じる、入れ込むほどに年甲斐もなく緩む涙腺!
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石の上にも三年ではないが、結果的には全く報われることのなかったその三年ではあるが、毎日毎日、来る船来る船、見続けるちょうちょう。その意味では彼女が自分で作り出した悲劇という側面もあるわけだが、でも、自ら退路を断つことの不安と自覚と覚悟、だけれども夢見る少女。
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第1幕ではルスティオーニのプッチーニ節は半開なれど、この幕前半のどちらかというと屈辱の日本女性という現代からは少しかけ離れた違和感が、徐々にストーリーにグイグイと引き込まれるにつれて霧散していく。人と人、ハートとハートのプッチーニワールドに引き込まれていく。
やや声太な主役二人、ピンカートンは個人的にはもう少し細い声が好みなのだが、ちょうちょうさんの抜群の安定感のもと、二人ともよく通る声だ。澄み切るには指揮者とオーケストラのさらなる頑張りが必要な第1幕。先にはプッチーニが待っている。
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昨今、幕をつないで長丁場にしてしまう舞台が多いがこの演出も第2,3幕をつないでしまったが、ハミングコーラスから間髪入れず一気3幕にはいったのは正解だった。緊張感が保持されたまま悲劇に向かう、聴衆の緊張感も継続されたままのほうが理にかなっている。
その第2幕で、愛くるしい愛の結晶が舞台に駆けてくる。ここで、ルスティオーニは音を爆発させた!ここから俄然鳴らし始め圧倒的な劇的表現を最後まで貫いた。彼のプッチーニ節はこのようなものだった。舞台と同じぐらいドラマチックな鳴りはど迫力で、上野がこんなに鳴っていいのかというところもあったが、まずは彼の解釈、思いの表現に耳を傾けるべきであろう。オーケストラが音を出すわけだがこの劇的な表現のあたりから良い鳴りとなってきた。指揮、オーケストラが一体になり、その上に歌が美しく弧を描く。これぞまさしくオペラハウスのオペラをほうふつとさせるオペラの醍醐味。あぁ、鼓膜がはがれる気持ちよさ。
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ハミングコーラスでは泣く。だいたいいつもこのざまだ。劇が自分に振りかけた気丈と哀れのないまぜ。自分の遠い昔を見ているようなデジャブ感。
ルスティオーニの棒は縁取りが明確だ。ピアニシモサウンドだけが悲哀を表現できるわけでもないんだよと言いたげだ。誠に迫力ある哀しみの表現がツボにはまった。
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第3幕のちょうちょうさん白熱の歌と演技が光る、それとスズキの好演技もみものだ。
ちょうちょうさんの自刀シーンは全てを越えて美しい舞台。このように雄弁な静止、1000の動きをもってしても替えることはできない。日本が舞台のプッチーニを日本人が演技するとこうなる。白熱のラストシーンであった。
おわり


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