明末清初の中国における科学的思考様式の出現について、限界があったとか独自の歴史的発展によるとか過去の関連研究のようないじましい留保をつけずに当時宣教師を通じて流入してきた西洋の科学技術の影響によると綺麗に認めているのは進歩といえば進歩だが、こんどは反対に、その時代に生きていたからというだけの理由で徐霞客の業績までを無条件にそうとしてしまうのはどうであろうか。傍証のみで直接証拠が提示されていない(この著者連の手法ではできない)。根拠なしの肯定はいつでも根拠なしの否定に転じうる。
(南京 : 南京大学出版社 2006年8月)
(南京 : 南京大学出版社 2006年8月)