誰もが自分のことで手一杯、それ以上は勘弁、全体や社会のことなど考える余裕などない、できれば自分のやるべきこともやらずしかし代金だけはもらいたいというのが普通の人の普通のあり方だということを、いまさらながらに想わされる内容。だがそのような、閉塞し凝滞した情況のなかで、事態を改善せんと現実に執着(としか形容のしようのない)し、絶えずあれこれの方法を見いだしてはそれをてこに少しでも動かそうとする著者の言動の壮絶な軌跡は、まさに“志のある人”のそれと評するべきであろうか。
(東洋経済新報社 2016年10月)
(東洋経済新報社 2016年10月)