分野としては、「歴史地理学」ということになるのだろうか。文中提出されるおびただしい計測(RS)データと、これもまたおびただしい量の文献史料。その紹介される範囲は、本書題名の掲げる前漢時代のそれに止まらない。
著者は、後者の記述内容を主とし、前者をそれを検証すべき補助的な手段として位置づけている。デジタル化された膨大な後者文献史料を、字あるいは句で検索する手法なくしてはなりたたなかった研究だと思わされる。そして史料の読みについても、4(あるいは5)W1Hを拾えばそれで十分、つまり「大意が解ればいい」という、従来の漢籍読解とは異なる新しい手法が、ここでは前提とされている。そしてそれで十分な研究分野であり対象である。
そのアプローチの体系だった一端であろうか、引用される漢文はすべて、章末の注に一括して挙げられるのだが、それらは原文のみで、訓読はもとより現代日本語訳すら添えられない。
(六一書房 2016年2月)
著者は、後者の記述内容を主とし、前者をそれを検証すべき補助的な手段として位置づけている。デジタル化された膨大な後者文献史料を、字あるいは句で検索する手法なくしてはなりたたなかった研究だと思わされる。そして史料の読みについても、4(あるいは5)W1Hを拾えばそれで十分、つまり「大意が解ればいい」という、従来の漢籍読解とは異なる新しい手法が、ここでは前提とされている。そしてそれで十分な研究分野であり対象である。
そのアプローチの体系だった一端であろうか、引用される漢文はすべて、章末の注に一括して挙げられるのだが、それらは原文のみで、訓読はもとより現代日本語訳すら添えられない。
(六一書房 2016年2月)