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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

『日本語学』 2016年9月号

2016年12月02日 | 人文科学
 出版社による紹介

 金文京論文「中国古典文学研究と漢籍データベース検索」と石井公成論文「仏典漢訳の諸相」とを読む。
 ①金論文。PC検索の利用は弊よりも利のほうがはるかに大きいとのご意見。ただし、「検索の前に注意深い読書と正確な読解力が必要であることは言うまでもない」(8頁)。シャーペンを買って貰った昭和40年代の小学生みたく新しい道具を手にすれば己の頭までよくなったと勘違いする向きとは、やはり一線を画している。
 ②石井論文。竺法護訳『正法華経』で「月」が原文にないニュアンスと連想に基づく比喩として訳されていること(誤訳)に注目している。「竺法護の母国では月を畏怖する習慣があったのかもしれない」(49頁)。直喩、暗喩のパターンは文化によって異なるという指摘。

(明治書院 2016年9月)