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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

冨谷至 『韓非子』

2013年12月29日 | 東洋史
 非常に面白い。『韓非子』の頭にあるのは国家の秩序の保持と社会の安定だけらしい。そのためには前例に捕らわれることなく、刻々移り変わる内外の状況をにらんで政策も法も変えてゆく。ひたすら、秩序と安定だけを押さえて。
 この書、『韓非子』からの引用を、現代日本語訳一本に絞っているのは、一つの見識だと思う。原文と訓読を省略すればその分引用を増やすことができる。さらに言えば、『韓非子』の文体は訓読のみではやや意味が取りづらいかもしれない。

(中央公論新社 2003年5月)